将来社会をつくっていく方向で、お金に働いてもらう。 それが、長期投資である。
将来社会という以上は、どんな社会にしていきたいかの夢や思いがあってしかるべき。
また、単なる願望に終わらず、望む将来社会を実現させていくのだという強い意思が求められる。
その長期投資だが、資産づくりを目指した株式投資とかに限らない。
地域経済活性化はもちろん伝統文化芸術や職人技術の伝承なども、長期投資に入ってくる。
要は、お金に働いてもらうこと。 自分も頑張るが、お金にもたっぷりと働いてもらおう。
その時、みんなの思いが集まって、お金に働いてもらうと、とんでもないことまでやれてしまう。
いま、徳島のオペラ仲間たちと、ある思いを熟成しつつある。
それは、徳島に本物のオペラハウスを建設することだ。 馬蹄形の生声が響き渡る歌劇場だ。
日本では初めてとなる馬蹄形のオペラハウスが徳島にできると、とんでもないことが起きる。
先ず、世界のトップをいくオペラ団体はいずれも東京を素通りして、徳島での公演となる。
彼らとすれば、馬蹄形のオペラハウスがあるならば、そこでの公演が一番実力を発揮できるのだから。
となると、日本中のオペラファンは日本では最高のオペラ公演を楽しみに、挙って徳島へ足を運ぶ。
当然のことながら、徳島のホテルやレストランはオペラ公演にやって来る県外からの人々で大繁盛となる。
また、いまは東京に集まっているオペラ歌手や演奏家たちも多くが、徳島へ移住してくる。
生声で勝負する馬蹄形のオペラハウスで歌ったり演奏していると、真の実力が養成されるのだから。
音楽家たちが数多く集まってくれば、気がついたら徳島が音楽の街となっていたということに。
このように、オペラハウスが一つできるだけで、徳島には恒常的に大きなお金が落ちる。
これって、素晴らしい長期投資じゃない? まさに、みんなの長期投資である。
南ドイツはノイスバンシュタイン城とロマンティック街道、そしてミュンヘンには毎年兆円単位の観光収入がある。
狂った王様といわれたルードヴィヒ2世が、国民の憤懣の中ノイスバンシュタイン城を作ってくれたおかげだ。
花の都フィレンツェには、600年たった今も世界中から観光客が押しかけて、超のつく賑わいである。
ルネサンスを先導したコジモ・ディ・メディッチのみならず、彼に同調して商工業者たちがドオーモなどを建設した成果である。
いずれも、文化が最高の長期投資となる実例である。 みんなの長期投資は凄いことをやってのけることができる。