マイナス金利の解除とかよりも、

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今日の日銀の政策決定会合でマイナス金利が解除されるとかに、マーケットの関心が集まっている。

いってみれば、17年ぶりの利上げであり、ようやく大規模な金融緩和政策が終わることになる。

それによって、イールドカーブコントロールといって、長期金利を定めた利率より下に抑え込む政策も終わる。

そして、株式ETFの買い取りなどで株価下支えと、市場への資金供給を狙った政策も終りとなる。

話題としては、いろいろ大きな変化をもたらす材料となるが、実体はそう大きく変わらないだろう。

長期金利でみても、ここまで1%以下に抑え込んできたが、米国のように4%台へと跳ね上がっていきそうにはない。

そんなことになったら、日銀や国には巨額の利子支払い負担が降りかかってきて、とても耐えられないだろう。

ちなみに、日銀は大規模金融緩和政策で、財務規模を日本経済の1.3倍もの巨大さに膨らませた。

国は昨年末で、1286兆円の借金を抱え込んでいる。 国債の発行額は1100兆円を超える。

これらのどれにも、金利上昇による利払い負担が重くのしかかってくるのだ。

政策的には、マイナス金利解除後も、金利水準を低位に抑え込んでおこうとするのだろう。

ここで、そもそも論に入ろう。 日本は1995年から超低金利政策を、99年からゼロ金利を導入した。

バブル崩壊後の資産デフレ対策として、そして不良債権を抱えた銀行やバブル企業の救済を目的としてだった。

そのとばっちりを受けたのが家計で、ずっと利子収入を大きく奪われ続け、消費は低迷を余儀なくされてきた。

現金を除いた預貯金額でみると、日銀統計で95年末が535兆円、23年末が1007兆円。 平均すると、771兆円だ。

771兆円に通常の3%とか4%の利子がつくと、家計には23兆円とか30兆円の利子収入となる。

そういった利子収入の70%が消費にまわったとしたら、日本経済を3%あるいは4%も成長させた計算となる。

粗っぽい計算ながら、超低金利やゼロ金利政策で家計から利子収入を奪い、3%あるいは4%もの成長要因を削いできたのだ。

日本のデフレは需要減退が主因といわれるが、それもこれもゼロ金利政策で家計から利子収入を奪い続けてきたからだ。

このあたりの検証は、まったくなされていない。 そう、ゼロ金利とかマイナス金利は一体なんのためだったのだろう?