1月から始まった新NISAでも、全世界株式や米国のS&P500種のインデックスファンドが超人気らしい。
元日経編集委員の前田氏が主宰しているマーケットエッセンシャルによると、まさに凄まじい。
1月の投信購入の上位10本のすべてが、インデックスファンドである。
10本の合計購入額は7928億円で、総額に占める割合は81%に達しているとのこと。
新NISA対応の投信ファンドが2000本ともいわれている中、上位10本への集中度合いは異常に高い。
投資はじめての人たちの資金も相当に入っていると思われるが、どうしてこんなことになるのだろう?
一人1口座という新NISAの制度に向かって、大手金融機関が大々的な口座獲得競争を繰り広げてきた。
大手による大々的な営業に乗って、新NISAの口座を新規設定した人たちは、すごい数に上るといわれている。
新規の投資家たちは、「いまこういったインデックスファンドが大人気ですよ」といった営業に弱い。
それを側面支援するかのように、マスコミがこれでもかこれでもかとインデックスファンドを持ち上げてきた。
コストは安いし、この40年間の成績も文句なしで、インデックスファンドにあらずば運用ではない。
そういったインデックスファンド絶対論といった風潮を、マスコミは醸成してきたわけだ。
ちょっと待ってくれだ。 われわれ本格派の長期投資家からすると、「恐ろしや」の一言である。
熟しきったカネ余りマーケットで、その最後を飾る現象としか思えない。
たしかに、この40年ほどは世界の株価上昇に乗って、インデックスファンドがこの世の春を謳歌してきた。
それを演出してきたのが、ずっと積み上がってきた世界の過剰流動性と、膨れ上がり続けた年金マネーによる株買いである。
そこへ、リーマンショック後のゼロ金利やマイナス金利に、史上空前の資金供給が乗っかってきた。
これだけ株高条件が重なれば、リサーチや運用コストがかかる個別株投資でなくても、インデックスファンドで十分となる。
とはいえ、世界的なインフレ圧力の台頭に金利上昇という、経済合理性の刃が突き刺さってきている。
これらは、株高そのものに対する急ブレーキとなるし、金利コスト上昇に耐えられない企業の選別に直結する。
そうなってくると、インデックスファンドに対しては、2重のマイナス条件が突き付けられる。
その横で、個別企業をていねいにリサーチして、買いタイミングも選ぶアクティブ運用が再評価されだす。
そう、インデックスファンドが冬の時代に突入と、アクティブ運用の大復活がいよいよ始まるのだ。