こんなの書くと相当に反発を食らうだろうが、やはり書いた方がいいだろう。
それは、表題の「日本の資産運用レベル」が、証券会社の営業レベルだということ。
証券会社の営業は顧客に株式や債券などを買ってもらって、売買手数料を稼ぐことで成り立っている。
もちろん、投資家顧客に儲けてもらいたいと願っての営業ではあるが。
投資家顧客に儲けてもらって、それでもって株式などの売買手数料をしっかりと稼ぎたいと願う。
それを、証券サイドでは昔から「客を儲けさせる」と、やや傲慢な言葉を使ってきたものだ。
ともあれ、証券会社は株式相場などがどんどん上がってくれる方向で、株式営業を展開する。
たとえば、相場が上昇トレンドに入ったタイミングで、この株を買えば儲かりそうだから積極的に買おうと勧める。
それを、順張りの投資という。 後から買う人が多くなればなるほど、株価上昇の勢いが増す。
株価上昇のスピードが増してくるにつれ、さらなる買い注文を集めるべく株式営業に力を入れる。
皆で、どんどん株を買っていけば、上昇相場はさらに力強くなり、多くの投資家顧客に喜んでもらえる。
もちろん、大量の買い注文を獲得できて、証券会社の手数料収入は大きく膨らむ。
かくして、投資家顧客も証券会社も儲かって、皆がウハウハとなれる。
そのうち、そこまでの株価上昇がピークを打って下げに転じれば、証券の営業は次の買い銘柄を物色する。
一方、多くの投資家は高値まで買い上がった結果、相場の下げで損を出したり、塩漬け投資に追いやられる。
痛い思いをして、投資は難しいとかリスクが多いと、泣き言を並べるばかり。
そんなの当然のこと。 証券営業と一緒になって、相場追いかけ投資をやっていては、資産形成にはならない。
よほど長期の上昇相場が続いている間だけだ、投資で儲かっているとニコニコ顔できるのは。
だから、日本の資産運用は証券の営業レベルだと言っているわけだ。
個人投資家だけではないよ。 機関投資家たちも、ひたすらマーケットを追いかけては、運用成績を上げようとシャカリキになっている。
資産運用とは、「安く買って高く売る」を繰り返すのが基本。 そのリズムを、自分なりに守ることだ。
つまり、マーケットとは、いつもつかず離れずのスタンスを守る。 証券会社との付き合いも、その範囲内とする。
ちょうど、いまが格好のリトマス試験紙だ。 マーケットや証券会社のさらなる高値追いに乗っかっていくのか。
それとも、われわれ本格派の長期投資家のように、この高値ではマーケットから離れるのか。