マーケットの勢い vs 経済合理性

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世界のマーケットは、いまや歴史的な金融緩和の最終章で、のたうち回っているといえよう。

異常なまでに膨れ上がったカネ余りに支えられて、債券や株式など金融マーケット全般に大活況を呈してきた。

空前の上昇相場を続けてきた間に、積み上がった金融資産の買い残高は、天文学的な水準となっている。

それに対し、世界的なインフレとそれを阻止しようとする金利上昇という、経済合理性の刃が突き刺さってきた。

われわれ本格派の長期投資家からすると、ようやくまともな経済やマーケットに回帰してくれると大歓迎である。

ところが、債券や株式など金融マーケット参加者の多くが、カネ余り相場の勢いに酔ったままでいる。

とりわけ、世界から見て大きく立ち遅れてきた日本株市場で、最近の買い意欲の高まりは出色である。

まだまだ買って儲けられると期待する投資家は多く、日経平均の4万円台乗せだと息巻いている。

まさに長く続いてきた歴史的な上昇相場の勢いを反映した投資家の強気姿勢だ。

その横で、突き刺さってきた経済合理性の刃は、着々と世界の金融マーケットを崩している。

この、これまでの上昇相場の勢いと経済合理性のせめぎ合いは、どこかで一気に決着をみよう。

決着? そう、もういつどこで、世界の金融マーケット全般が大崩れに入ってもおかしくない。

たとえば、米国の政策金利が5.25%に引き上げられ、市場金利の象徴である長期金利は4.6%台に乗ってきた。

ゼロ金利時代にこの世の春を謳歌してきた金融商品のほとんどにとって、これは逆風もいいところ。

どれも、なんとか利回りを稼ごうと、無理やり3%~7%にまわるよう仕立てられてきた金融商品ばかりだ。

そんなものを投資保有しているよりも、ストレートに米国債を買った方がよほど安心できる。

そういった、まともな投資判断でジャンク債など信用度の低い金融商品から米国債への乗り換え売りが殺到してもおかしくない。

その動きが出て来るや、売りの連鎖が債券市場全般に拡がるのは、あっという間である。

また、それが世界の金融マーケット大崩壊の号砲ともなろう。 もう、いつはじまってもいい。

しかるに、まだまだカネ余り上昇相場の燃えカスが、勢いの残渣となっているようだ。

それが、インフレや金利上昇という経済合理性の刃に対し、最後の抵抗を続けている。

いずれ、天文学的な買い残高の重みによる売り地獄が見られよう。

われわれ本格派の長期投資家は、遠く離れたところで、のんびりと眺めていればいい。