かつて、国の年金を運用するGPIFが株式運用を拡大積極化したときに、気がついたら外資系が優先されていた。
外資の大手なら資産運用の実績や経験が豊富なので、安心して任せられるということで巨額資金を配分したわけだ。
今回の資産運用立国にしても、資産運用特区を設けて外資の日本進出を優遇するということらしい。
どうして、そうも外資をありがたがるのだろう? なんでも外資に頼るなんて、日本に戦略というものはあるのか?
大体からして、国など政策当局は世界の運用ビジネスの現状も、短期の資金運用に走っている現場も知らない。
なのに、資産運用立国を唱えては外資を導入すればいいだろうなんて短絡的にすぎる。
それでは、国民の預貯金を長期の資産形成に誘おうとする、本来の政策目的からは遠く離れてしまうだけだ。
そもそも資産運用ビジネスは、時間の経過とともに積み上がっていく実績でもって勝負する世界。
ならば、完全公開ベースで競争運用を展開させればいいだけのこと。 本物だけが生き残る。
GPIFの株式運用拡大の時でも、いつのまにか外資系中心に資金配分して、運用を任せることになった。
どうして、国内外の運用会社に公募して、勇んで手を挙げてきたところには、たとえば500億円ずつ均等配分しなかったのか。
日本で認可を受けている一任運用会社や投信会社が、かりに40社でも手を挙げてくれば、2兆円が競争運用に配分できる。
それだけでも、国の年金を運用するGPIFは、いつの間にか外資系にではなく、透明性高く株式運用を委託できた。
また、500億円も配分してくれるとなれば、我こそはの内外の運用会社は挙って一任業務や投信の認可申請に走る。
かくして、公開競争運用に参加する資産運用会社は一気に増加する。 それが、日本の資産運用ビジネスの裾野を拡大させることにつながったはず。
そして、先ずは5年間の運用成績をチェックし、6年目以降は積み上がった成績順に追加の資金配分に差をつける。
この累積の成績がどう積み上がってくるかをベースに、国の年金の運用委託分を傾斜配分させていく。
それでもって、全体の成績向上を図るとすれば、資産運用会社はどこも長期的な資産増加に向けて鍛えられる。
結果として、日本の資産運用ビジネス各社の能力向上と、国民の資産形成に大きく貢献するのだ。
なにもかも外資だなんて、無思慮かつ国の戦略というものがなさすぎる。