今週に入って米国でも日本でも、長期金利はじりじりと上がってきているし、株式市場も大きく下げている。
金融マーケットの大崩れが、いよいよはじまったかな、といいたいところだ。
まあ、相場のことは神のみぞ知るの世界。 この先どう転がっていくかは、成り行きを見守ることにしよう。
はっきりしているのは、どっちみち大崩れしていく、その方向に変わりはないということだ。
第1に、15年ほど続いたゼロ金利政策で積み上がった借金やビジネス契約が、世界経済の1個分もある。
国際金融協会によれば、世界の総債務は2021年末で世界GDPの3.5倍と、10年前の2.5倍から跳ね上がった。
大きく膨れ上がった債務残高バブルは、昨年からの金利上昇という刃に曝され、いつ破裂してもおかしくない。
つまり、低格付けのジャンク債をはじめとして、低利回り債券中心にデフォルト(債務不履行)の連鎖は、もう時間の問題である。
ジャンク債にしろ、債券市場で売りが急増すると、債券価格の下落と流通利回りの急上昇を招く。
それは、債券市場全体で一方通行的な売りの集中となる。 50年ぶりの債券市場の暴落だ。
第2に、世界的なインフレ圧力の根は深い。 その最たるものは、各国での低所得化から発している賃上げ圧力だ。
世界的な金融緩和を一部の高所得層は謳歌してきた。 その横で、世界中で大多数国民の低所得化が進んだ。
この2年間の諸物価上昇は、とりわけそういった低所得層を直撃している。
生活を圧迫された人々は数多く、その人々の賃上げ要求は、さらなる物価上昇につながっていく。
ということは、先進各国中心に政策金利はまだ一段の引き上げか、すくなくとも高止まりは続かざるを得ない。
それは、企業にとってコスト圧迫要因となって、業績悪化につながっていく。
カネ余りのバブル高を続けてきた株価全般にとっては、大きな売り逃げ材料となるのは避けられない。
そう、株式市場も大暴落は免れない。 インデックス運用とか国際分散投資にも、大きな冷や水となろう。
第3に、金融マーケットの大崩れは世界経済にも大きな混乱をもたらそう。
その中から、実体経済をベースとした、より落ち着いた経済活動が見えてこよう。
40年ちょっと続いた金融経済を中心としたメガトレンドの終焉でもある。
われわれ本格派の長期投資家からすると、経済本来の姿への回帰だ。