日本に寄付の文化を高めていくことは、すごく重要である。
寄付の重要性には二つの側面がある。 ひとつは、生活などいろいろ苦しんでいる人々のお役に立てられること。
もうひとつは、収入が低い人々に寄付がまわることで、即座に消費を喚起できることだ。
芸術家やスポーツマンたちなど、賢明に頑張っているものの、収入はイマイチの人々は数多い。
彼ら彼女らにも寄付という支援がまわっていけば、どれだけありがたいことか。
そういった寄付は、富の再分配につながり、経済の拡大再生産を促していく働きをしてくれる。
いま日本の家計は、999兆円ものお金を預貯金に寝かせたままにしている。 (日銀速報2023年3月末現在)
そこから生まれる富つまり利子収入は、年0.001%の利率で900億円ほどで、ほとんど経済効果はない。
ところが、1%でも寄付にまわるだけでも、即座に9兆円もの消費を発生させられるのだ。
それだけで、日本経済を1.8%成長させることになる。 凄まじい経済効果だと思わないか。
もっとも、一方で寄付は甘えを助長し、人々の自助努力を削いでしまうといった懸念も否定できない。
その点だけをみると、なんでこんなダラケた人たちに自分の大事なお金をまわしてやらなければいけないのかと思う。
そこで、是非やってみたいのは、寄付しようとするお金を、自分でもって行くことだ。
赤十字だとかの慈善団体にポンと振り込むと、そこで自分のお金は手を離れてしまう。
ところが、これはと思う寄付先に、3000円でも1万円でも持っていってみよう。
すると、先方はどれだけ喜んでくれることか。 それをみて、自分の3000円なり1万円の価値を実感できる。
こんなにも喜んでもらえるのか。 お役に立てられて良かったと、大いなる満足感を味わえる。
この、お互い様の感覚を高めることが、日本に寄付文化を広めていく大事なステップとなるのだ。
そして、それがそのまま日本経済の活性化に大きく貢献してくれることになる。
忘れてならないのは、寄付を受けてありがたいと思った人々の中から、どんどん一本立ちが生まれてくる。
そして、今度は自分がお返しさせてもらうのだという、善意の循環が広がっていく。
いい社会をつくっていこうよ、もっと素敵な世の中を子どもたちに残してあげようよの、第一歩だ。