日銀は10年物国債の利回りが0.5%より高くならないよう、売りが出てきた国債を無制限に買い取っている。
債券は売りがかさんで値下がりすると、それに反比例して流通利回りが上昇する。
なにがなんでも金融緩和を続けると言っている日銀にとっては、国債の利回り上昇は絶対に認められない。
そこで、出てくる売りは片っ端から買い取っているわけだ。 昨日も4兆6000億円ほど買い取ったとのこと。
そんな日銀に対し、市場には次から次へと国債売りが集中してくる。 その中心は、海外勢による国債のカラ売りである。
国債売りの集中? 12月に突如として日銀が国債の無制限買い取り枠を0.25%から0.5%へ拡大した。
いくら買っても、新たなる売りが出てくる。 それで、日銀は攻防ラインを0.25%から0.5%への引き上げを迫られたわけだ。
いま、0.53%をつけてきたのは、海外の投機筋を中心に売り崩しの勢いが、さらに増してきていることを意味する。
投機筋ならずとも、これは勝てる勝負と踏んでいるわけだ。 それで、売り崩しを加速させているのだ。
勝てる勝負? 日本と米欧諸国との金利差が3%以上に拡大してきている。
そして、日本の物価も上昇しだしている。 東京都の消費者物価は4%の上昇となってきた。
となると、いつまでも金融緩和政策に固執している日銀の姿勢は、まったくをもって合理性に欠く。
いずれ時間の問題で、日銀は金利引き上げを迫られるだろうと読むのは、ごく自然である。
そう、これだけインフレの圧力が高まっているのだから、日本の金利も上昇していって当然である。
いわば大河の流れのようなもの。 逆らっても、いつかは流されるだけだ。
その間に、ムダなコストは積み上がるばかり。 現に、日銀は国債買い取りで昨年から折にふれて兆円単位の資金を投入してきている。
恐ろしいほどの高値掴みをやっているのだ。 あくまでも金利を上昇させないよう、国債を無制限に買い取っているのだから。
兆円単位で積み上がっていっている国債は、金利上昇とともに巨額の評価損となっていく。
そんな評価損などお構いなしで金融緩和政策に固執しているのが、黒田日銀総裁である。
経済合理性に逆らって、評価損を積み上げて、一体どんな将来像を国民に提示しようとしているのだろう。