暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXが、経営の破産を申請した。
その背景は、これから明らかになっていくのだろうが、これはホンの走りとみてよいだろう。
というか、今後いろいろな経営破綻が続出するのだろうが、その要因は一つである。
それは、史上空前の金融緩和でバブル脹れしてきた企業経営が、行き詰まるということだ。
世界的なインフレ圧力による金利上昇という刃には、どんなカネ余りも対応できない。
そもそもからして、政策金利をゼロにして資金さえ大量に供給すればでやってきた先進国の経済運営だ。
いってみれば、カネ余りのバブル経済であり、砂上の楼閣のようなもの。
そういった砂上の楼閣を、インフレと金利上昇は真っ正面から崩しにかかってくる。
最初の刃は、政策金利の引き上げである。 米FRBやヨーロッパ中央銀行は矢継ぎ早に政策金利を引き上げている。
ひとり抵抗して、金融緩和政策に固執している日銀も、金利差による円安という経済では当たり前の現象に直面させられている。
米国でいえば、すでに政策金利を3.75%幅も引き上げている。 12月には、それが4.25%~4.5%になるのだ。
これだけの金利上昇は、すでに現実である。 ということは、次の刃が企業や経済を襲うことになる。
金利上昇に耐えられなくなった債券市場が大崩れに入り、債券の流通利回りの高騰つまり長期金利の急騰だ。
これを、市場金利の上昇という。 日銀がいくら金利を引き上げないと頑張っていても、市場金利の上昇にはなす術もない。
債券市場が崩れて長期金利が急上昇に転じると、ゼロ金利に甘えてきた企業などが将棋倒しのように倒産していく。
そうなると、第3番目の刃というか、国も日銀も打つ手なしの状況に追い込まれる。
なにしろ、市場での取引金利が跳ね上がっているのだ。 対策予算とかで国債を発行しようにも、金利コストが急増する。
日銀も金利上昇による国債価格の下落で、巨額の評価損を抱え込んで信用力の不安が広がってしまっている。
つまり、国も日銀もこれまでのような大判振る舞いの対策など、とうてい無理の状況に追いやられるのだ。
さあ、そうなってくると、いよいよ個人も企業も自助自立の気概で生き残っていくしかない。
そういった事態になってくれると、他力本願の甘えは吹っ飛ぶし、日本に蔓延している「ゆでガエル状況」は一掃できる。
大変な混乱に襲われるが、これも日本経済健全化のための避けて通れない道なんだろう。