米国の消費者物価指数の伸びが10月は7.7%と、予想された8%前後の線を下回った。
それで、12月の政策金利の引き上げ幅は0.75%ではなく、0.5%に下がるのではといった観測が出てきた。
金融マーケットは、もう大はしゃぎとなっている。 株価は久しぶりの大幅高となり、長期金利も急低下した。
大はしゃぎの投資家からすると、インフレが鈍化してくれば金利の上昇も頭打ちとなる。
となると、景気の落ち込みは回避されるから、売り込まれてきた株価は大きく戻して当然ということらしい。
ずいぶん幸せな楽観だなと思う。 統計数字ばかりを追い回している、最近の投資家像が如実に表れている。
消費者物価の伸びが予想より0.3%下回ったから、「それっ、株買いだ」とするのはディーリング運用者のもの。
まともな投資家だったら、7.7%というのは立派なインフレ基調。 それが生活者や経済に及ぼす影響を無視はできない。
なおかつ、かりに政策金利の引き上げ幅が0.5%に下がったところで、現在の3.75%が4.25%になるのだ。
昨日こそ、米国の10年物国債でいう長期金利が3.8%台に下がったとはいえ、それは一時のこと。
いずれ米国の長期金利は4.2%~4.5%あたりに、サヤ寄せされていくのは間違いない。
となると、昨日の大幅な株価の戻りも、どこかでグシャッと押しつぶされるのだろう。
それよりも肝腎なのは、かりにインフレ動向が収まってくれるとしても、上昇率が鈍化するだけのこと。
そこまでの間に上昇した物価は、そのままの水準を続けるわけで、元の低水準に戻るわけではない。
つまり、大きく上昇した物価水準に生活者が追いつくまでは、経済活動全般のふらつきは避けられない。
景気も企業の業績動向も当然のことながら、もたつき気味となる。
その間にも、金利上昇の影響はじわじわと個々の企業に及んでいく。
ここまで、ゼロ金利で資金はいくらでも借りられるといった事業環境に、多くの企業は甘えてきた。
金利上昇は、そういった甘っちょろい経営を片っ端から吹き飛ばすことになる。
そう、米国はじめ世界で、これから企業破綻が加速的に増加していこう。
日本は日銀や国が守ってくれる? おそらく、無理だろう。 どこかで、日本の金利も噴き上がるだろう。
これだけ世界的なインフレ圧力が高まっているのだ。 金利が上がっていくのは避けようがない。
つれて、日本でもゾンビ企業を中心に経営破綻が続出することになろう。
それと相前後して、株式市場や債券市場が大きく下げだすのだろう。