1973年の12月に米国の運用現場で、インデックス運用の原型みたいなものに、変なものが出てきたなと皆で議論した。
そして、1976年にジョン・ボーグル氏がバンガード500という、インデックス運用のファンドを立ち上げた。
その後も、5~6年ほどは世界の運用業界において、インデックス運用はさして関心を集める存在ではなかった。
ところが、1982年ごろからインデックス運用は徐々に、そして加速的に投資家顧客の関心を高めだした。
それにつれて、インデックス運用に向かって運用資産が急激に集まっていった。
一番の要因は、年金マネーの爆発的な膨張がはじまったことにある。
凄まじい勢いで膨れ上がっていく年金マネーに、伝統的な個別株投資では間に合わなくなってしまった。
運預調査スタッフの増強も、ファンドマネージャーの養成も、年金資産の増加スピードにまったくついていけない。
その点、インデックス運用であれば、平均株価などについていくだけだから、コンピュータにやらせておけばいい。
もちろん、運用リサーチも必要なければ、ファンドマネージャーの出番もない。
コンピュータの演算容量を増やすだけで、いくらでも年金資産の急膨張についていける。
かくして、インデクス運用は一挙に花が開いた。 バンガード500も爆発的な成長を遂げた。
そして、いまや世界の機関投資家の株式運用におけるインデックス運用の比率は70%を大きく超えるまでになった。
さて、問題はこれからだ。 おそらく、インデックス運用が冬の時代を迎えることになろう。
先進国中心に異常なまでの金融緩和を進めた結果、株価もカネ余りバブル高をこれでもかこれでもかと続けてきた。
ところが、世界的なインフレ圧力による金利上昇という局面を迎え、事態は様変わりになろうとしている。
どういうことか? 金利上昇で、ゼロ金利に甘えてきた企業の多くが脱落しはじめる。
それらの企業の株価下落や倒産が、平均株価に沿ったインデックス運用の足を引っ張るのだ。
これまでは、空前のカネ余りで世界の株式市場は玉石混交の株高を演じてきた。
今後の金利上昇局面では、石ころみたいな企業が次から次へと脱落していく。
それらに足を引っ張られて、インデックス運用の成績も下がっていくのは避けようがない。
そう、石ころ企業がすべて株式市場から姿を消すまでは、インデックス運用は冬の時代を覚悟せざるを得ないだろう。
その点、われわれ本格派の長期投資家の個別企業を丁寧にリサーチする運用は、そもそもが違う。
運用成績においても、大きな差が出よう。
徳島出張のため、つぎの長期投資家日記は21日になります。