日本のあちこちで、このままズルズルいくと危険だよ、という兆候が顕著になってきている。
米国の長期金利は、10年物国債の流通利回りでみると4.13%をつけてきた。
世界的なインフレ下にも拘わらず金融緩和政策に固執している日本との金利差は、3.88%にも広がっている。
これだけ金利差が広がれば、円を売って米国の国債を買おうとする動きは止めようがない。
それが円安を招き、1ドル149円の後半にまで、そう32年ぶりの安値をつけるまで円は売られている。
そういった流れで、4~9月の貿易赤字は過去最大の11兆円を記録した。
それだけ日本からの富の流出が続いている、つまり日本がどんどん貧しくなっているわけだ。
とはいえ、なにがなんでも金利を上げたくないとする日銀も、台所事情は火の車である。
ゼロ金利を維持しようと、520兆円ほどにまで買い上げてきた国債だが、金利がちょっとでも上がると評価損が跳ね上がる。
同時に、金融機関からの国債購入で代金は日銀の当座預金に預けさせている。
その当座預金の残高が567兆円にも上っていて、金利が1%上がるだけで5.6兆円の金利支払いが発生する。
2%の金利上昇で、11.2兆円の金利支払いだ。 日銀の純資産4.7兆円と比べるに、とんでもない金利負担となる。
国の財政も1100兆円を超す国債発行残を抱えていて、1%の金利上昇で3.7兆円の利払い負担となると財務省が発表している。
そんなにもひどい財務状況下なのに、国の財政バラマキは続いている。
ガソリン価格の急騰を抑えるためにとか、電気代の補填にとか、生活者を守ろうとする姿勢は良しとしても、その財源に対する危機感はまったく感じられない。
もう20年以上にわたり、国の予算の40%前後を財政赤字として、国債発行などで賄ってきた。
おそろしく野放図な財政拡大を続けてきたわけだが、それもゼロ金利だから成り立った図式である。
一方、世界的なインフレ圧力は、コストプッシュ型という根の深いタイプで、まだまだ続く。
ということは、米欧はじめ各国のインフレ抑制を念頭に置いた政策金利引き上げは、そう簡単に収まりそうにない。
となれば、いくら日銀が政策金利を抑え込もうと頑張っても、市場金利の上昇という津波に押し流されるのは、もう時間の問題である。
海外との金利差や円安で、海外への資金移動と富の流出が進み、日本は資金不足となり金利は放っておいても上昇していく。
あたかも、水が高いところから低きに流れるように。 それが、経済の常識である。
そう、もはや日銀にも国にも頼れなくなるどころの話ではないと認識しよう。
これまでの甘えを一掃して、自助自立の心構えを高めておくに如かずだ。