新著「暴落相場とインフレ、本番はこれからだ」は、来週あたりから書店に並ぶようだ。
そもそもの原因、つまり暴落相場やインフレの遠因まで遡って記述しているのが、第1部。
70年代からはじまった過剰流動性が、どんどん積み上がっていって、今日の金融緩和バブルにつながっている。
その間、2度だけ過剰流動性は危険だから、景気の安定をみて速やかに金融を引き締めるべしとする見解が実行された。
それが、1994年の債券下落による長期債利回りの急騰であり、2000年のITバブルの崩壊を招いたわけだ。
一時的には金融マーケットを中心に混乱を招いたが、米国中心に断固たる姿勢で過剰流動性の解消に臨んだ。
ところが、1997年あたりから高まってきた「コンピュータの2000年誤作動問題」に対処すべく、前もって資金を大量にバラ撒いておかねばとなった。
また、2001年9月11日の同時多発テロで、世界同時不況が懸念されて、やはり資金が大量供給された。
どちらも大量に資金がバラ撒かれた結果として、金融マーケットは未曽有のブームに沸いた。
その後は、過剰流動性は危険だという声はおろか、過剰流動性という表現さえ聞かれなくなった。
代わって、当時のグリーンスパンFRB議長の「根拠なき熱狂」ではないが、金融マーケットの暴走に誰もブレーキをかけなくなった。
それどころか、金融界は米国最大のロビイスト軍団として政治家に圧力をかけ続けた。
政治家の多くも株高に潤い、さらなる株高を求めてFRBなどに金融緩和の深掘りをさせ続けた。
いわば中央銀行が胴元になって株高を推進させる、国家関与のマネーゲームの様相が、どんどん強まていったわけだ。
とにかく金利を下げ、資金を大量に供給すれば良しの金融緩和一本やりの政策で、市場の声などを押しつぶしていった。
そういった経済合理性など無視した政策の行き着いたところが、金融緩和バブルであり、インフレの台頭である。
いかなる為政者も国家権力も、力でもって経済合理性を無視し続けることはできない。
それどころか、長いこと不合理を積み上げてきたが故に、その反動はこれまた大きなものになる。
それが、「暴落相場やインフレは、本番はまだこれからだ」につながっていく。