ウクライナ情勢、インフレ動向、金利上昇トレンド、どれをとっても投資方針は資産保全に徹すべき時である。
金融緩和バブルで膨れ上がってきた世界の金融マーケットだが、もうどこで崩れに入ってもおかしくない。
先ずは、ウクライナ問題。 4000万人強のウクライナ国民が祖国防衛でロシア軍に立ち向かう意思も意欲も、まったく衰えを見せない。
それに共鳴するように、世界の多くの国々からの同情と支持は、どんどん強まっている。
また、NATOや米国などは直接的な軍事介入は避けているものの、ウクライナへの軍事援助は加速的に増加している。
いやな表現だが、このままいくとウクライナを戦場にした代理戦争といった様相に発展しかねない。
代理戦争? 片方の当事者はウクライナへ侵攻したロシアだが、もう一方はNATO軍や米軍である。
両者とも最新兵器の数々を実用実験し、その性能と威力を世界へ売り込む絶好のチャンスととらえることもできる。
折しも、ロシアの理不尽な侵攻に対し、ドイツはじめ各国で防衛予算の増額に傾いている。
兵器産業をはじめとして、軍需の増加を歓迎する向きは、ウクライナ戦線の長期化や膠着状況を望むやもしれない。
もちろん、ウクライナ問題は一刻も早く終わってほしい。 ただ、この先どうなっていくかは神のみぞ知るのところ。
インフレの根も深い。 繰り返しているように、今回のはコストプッシュ型のインフレだ。
コスト増加要因は横へ連鎖しながら、世界中のあらゆるコスト上昇につながっていく。
とりわけ、物価上昇で賃金アップの圧力が、あちこちで高まっているのは軽視できない。
専門家の間では、来年にはインフレ傾向も収まっていこうとみる向きが多い。
とはいえ、彼らのほとんどが70年代のインフレは未経験で、最近の経済環境での専門家にすぎない。
当然のことながら、彼らの金利上昇に対する感度も、カネ余りバブルの延長線上ぐらいの甘さだろう。
古今東西、資産形成の骨格はいかに資産価値を保全しつつ、殖やしていくかだ。
その観点からは、いつでも最悪の状況を想定して、その荒波を食らわないように心掛けるべしとなる。
つまり、現行の金融緩和バブルからは一刻も早く遠ざかり、なにがあっても大きな痛手を被らないようにしておくことだ。
これだけ異常ともいえるカネ余りバブルが続いたのだ。 崩れたときの売り逃げで、マーケットも経済も想像を絶する悲惨さとなる。
その津波からは、遠く離れておくに如かずだ。 それが、本格的な長期投資というものである。