米FRBやヨーロッパ中央銀行は、金利や金融の正常化へ舵を切る政策に移行してきた。
それに対し、日銀はあくまでも金融緩和を続ける政策に固執している。
黒田総裁はゼロ金利と金融緩和こそが、景気を浮揚させ2%程度のインフレ状態に持っていく最善の策と信じて疑わない。
たしかに、日本経済をデフレ状態から脱却させた日銀の功績は、それなりに評価されよう。
といっても日本のデフレ現象は、80年代後半のバブルに踊った金融機関や企業を救済しようとした政策に起因している。
巨額の投資損や評価損を抱えた銀行や企業が連鎖倒産しだしたら、大量失業も発生し社会不安ともなる。
それは防がなければということで、バブル崩壊の穴埋めに500兆円を超す景気対策予算を投入した。
バブルに踊った銀行や企業を救済するという後ろ向きの方向で、巨富を投入し続けてきたわけだ。 いわば、死に金である。
これだけの巨富を、もっと前向きに投入していたなら、日本経済はもっと早く立ち直っていたはず。
また、超低金利政策で家計から利子収入を奪い続け、その額は560兆円を超している。
これは、本来なら消費にまわっていたはずの資金である。 単純計算ながら、その消費だけで日本経済は年3.5%前後の成長はできたはず。
残念ながら、後ろ向きの政策で30年もの時間と巨富を費消してしまった。 その結果が、デフレ現象である。
そのあたり政策の失敗は、一度も検証されていない。 実に、もったいないことをしてきたものである。
そして、デフレ現象の後始末に、日銀が駆り出されているわけだが、やはり政策失敗に陥っている。
どういうことか? デフレ現象を解消し日本経済を元気にさせるには、個人消費を高めればいいだけのこと。
それには、一刻も早く金利を正常化させるに限る。 それが、個人の預貯金マネー984兆円を生かすことになる。
ちなみに、金利が3%とか4%に戻れば、それだけで家計の利子所得は23兆円から31兆円(源泉税後)となる。
この30年間ずっと奪われ続けてきた利子収入だ、その70%が消費にまわれば、日本経済は3.0%~4.0%の成長となる。
金利を普通の水準に戻すだけで、アベノミクスはじめ国の景気浮揚策などより、はるかに高い成長が得られるのだ。
経済は生きものであって、それには前向きにお金がまわるような政策が肝要である。
もちろん、金利や金融の正常化で困る企業は続出するだろうが、それも経済の活性化には避けて通れない道である。