ウクライナ問題で原油や国際商品の価格は上がっているのに、昨日のNY市場は大きく戻した。
株価が大きく反発したのは、ウクライナ情勢が緊縛化しているので、米FRBによる利上げがトーンダウンするのを期待してもの。
つまり、金融マーケットは金利の引き上げとかの範疇でもって、投資判断しているのだ。
先日も書いたように、プライベートバンキングでの鉄則は、「資産を保全しつつ、殖やしていく」である。
保全の第1順位が、対戦争である。 第2順位が、対インフレである。 そして、第3が社会の不安定化である。
ようやく第4、第5に金利や景気変動が来るわけだが、金融マーケットはまさに第4第5でシャカリキとなっているわけだ。
ウクライナ情勢の緊迫化は、本来の優先順位そのものである。 戦争であり、インフレが現実となっているではないか。
なのに、世界の投資家たちはその現実を軽くみているのか、どうみても気楽なものだと言わざるを得ない。
株式市場では、遠い戦争は買いだと昔からいわれているが? たしかに、直接の被害は受けずに戦時需要を享受できる。
それで、遠い戦争は絶好の買い場だと言われてきたわけだ。 第1次世界大戦時の日本がそうで、戦争成り金が続出した。
しかし、世界経済のグローバル化が進んできた現在は、遠い戦争も自国経済にそれなりの影響を与える。
ロシアに対する世界の経済制裁は、ロシア経済を相当な苦境に陥れるが、世界にもある程度の痛手が及んでくる。
現に、ロシアからの原油や天然ガスの供給が制限されることで、世界のエネルギー価格は高騰を続けている。
また、小麦や大豆といった食糧価格も急上昇してきている。 これらは、世界の家計を苦しめることになる。
それだけでなく、コストプッシュ型のインフレ要因となって、世界経済に重くのしかかってくる。
その先では、FRBなどによる政策金利がどうのこうのを超えて、市場での取引金利の急上昇が待っている。
第2の優先順位の警戒信号が、現に灯ってきているのだ。 そうなのだ、このインフレ動向は軽くみない方がいい。
この先、ウクライナ問題がどうなるかわからないが、われわれ本格派の長期投資家は慌てなくていい。
実体経済にしっかり足を下ろして投資している限り、なにがあっても大丈夫。 また、インフレにも乗れてしまう。