新しい資本主義って!

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岸田首相はじめ、最近は新しい資本主義とかを唱える人が増えている。

みな、「現在の資本主義は行き詰っている。それを、なんとか修正ないし変えなければ」では一致している。

ただ、具体的にはどうしていくのかで、いまいちピンとこない。 どれも抽象論の羅列に終始している。

抽象論やきれい事をいくら並べたところで、官僚の作文みたいなもので誰もついてこない。

人や企業を「その気に」させないと、経済も社会も動かない。 つまり、現状からになにも変えられない。

どうしたらいい? なにごとも、根っ子に戻って、そこから考えを組み立て直すといい。

さすれば、現在の問題点がはっきりと認識でき、具体的な行動につなげられる。

たとえば、資本主義のそもそもは、個人個人が自由に自分の利益を求めて行動することである。

自由自在に自分の利益を求めるといっても、そうそう自分の思うような展開となっていくものではない。

ひとつ間違えると、大きな損失を被ってしまう。 利益を求めての行動が裏目に出てしまう。

そこで、おのずからリスク意識やバランス感覚でもって、自分の行動に制約を課すことになる。

いってみれば、利益を追求しようとする自分に、理性を働かしたり経験の積み重ねでもってブレーキをかけるのだ。

別の角度からいうと、自分最適を求めつつも、全体最適に対する意識を片時も忘れない。

さもなければ、全体最適つまり社会にとって良かれから大きく逸脱し、自分の利益をも損なうことになる。

この個人個人が、理性や自制心をもって利益追求に邁進するのが、資本主義の原点であるはず。

ところが、最近は株主資本主義とかを唱えて、好き放題に自己利益の最大化に走ってきた。

このままでは、いけない。 その反省で、新しい資本主義やらを言い出しているだけのこと。

好き放題の自己利益追求や、モラルハザードも強引に押し切ってきた力まかせ、それらに対する反省だけでは何も生まれない。

そもそもからして、資本主義の精神から大きく逸脱してしまっているのだ。

プロとか言われる雇われ経営者も、機関投資家の運用者も、他人の資金を預かっているだけのこと。

資本家ではない。 したがって、なんだかんだ言いながらも、部分最適や自分最適に陥ってしまう。

それでも、自分のお金だと思って仕事にあたることで、すこしだけでも資本家の精神に近づける。

こう書いてくると、われわれ本格派の長期投資家が求めていることは、限りなく資本家に近いと思えないか?