日本はじめ世界の株価が大きく下振れしはじめている。 いい傾向である。
大きく下振れしては小幅に戻すを繰り返しているうちに、さすがのカネ余りバブル買いも勢いを失っていく。
そして、投資家の間で急速に疑心暗鬼が高まりだす。 いつどこで誰が売ってくるのか、といった憶測に敏感になっていくわけだ。
バブル買いをしていた頃は、売りの心配などかけらも持たなかった投資家たちだ。
それが、徐々にではあるが、「どこかで大きな売りが出てくるのでは」といった不安を隠さなくなってくる。
そういった疑心暗鬼が走り出すと、さすがのバブル上昇相場も不安定な値動きを示しはじめる。
そのうち、どこかで大きな下げにでも出くわすと、もうダメだ。 皆が一斉の売りに転じる。
まあ、このような展開でバブル相場は崩れに入っていく。 その走りが、はじまったかなというところだ。
なにか、嬉しそう? そう、ずっとバブル崩壊を待ち望んでいたから、結構な展開と歓迎しているわけだ。
株価が大きく下がれば、景気にも影響が出るしで、なにもいいことはないのでは?
その考え方でもって、ずっと金融緩和を深掘りしてきたはず。 とりわけ、日本は30年間も延々とだ。
つまり、ずっと張りぼての株高や張りぼての景気回復を追いかけてきただけのこと。
だから、成長率はさっぱり高まらないし、国民の所得増加にもつながっていないではないか。
張りぼての株高は、一部の人たちの金融所得を大きく伸ばしはするが、国民所得の増加にはつながっていかない。
張りぼての景気回復は、いつもカンフル注射を打ち続けないと、すぐ腰折れする柔な経済をつくっていくだけである。
現実に、そうなっている。 金利をゼロ同然にし、資金はいくらでも調達できるビジネス環境では、どんな企業でも生きていける。
そう、自分の力では生きていけない柔な企業や、いわゆるゾンビ企業を大量生産していくだけだ。
それでは、永遠にカンフル注射を打ち続けなくてはいけないし、株高を維持しなくてはならない。
待ち望んでいるバブル崩壊で、株価や債券は暴落するが、金利は正常化の道をたどりだす。
当然のことながら、柔な企業やゾンビ企業は淘汰されていく。 それだけ、国や日銀の負担は軽くなる。
もっと大事なのは、本当に足腰の強い企業群がはっきり見えてくることだ。
そういった企業群の株価は自然と上がっていく。 それをベースに、日本経済もしっかりとした歩みを見せはじめるはず。
この異常な金融バブルの崩壊が、日本ならびに世界経済の健全化の第一歩となるのだ。