世界の株式市場は、徐々にだがバブル高に対する警戒モードが高まり始めている。
例外はNY市場で、カネ余りの買いがしぶとく続いていて、なかなか下げてくれない。
バブル買いを象徴するような強烈さこそないが、どこからか買いの手が入ってきて、すぐ反発高となる。
それでも、ようやく昨日のNY市場は大きく下げてくれた。 できれば、このまま下げに入ってもらいたいものだ。
どうしてそうも、株式市場の下げを願うのか? 知れたこと、きわめて質の悪い株高が続いているからだ。
質の悪い株高? そう、前代未聞といわれるほど大量の資金供給が続けられ、それに乗っかっただけの株高だからだ。
あろうことか、先進各国は株高の維持こそが景気回復につながっていくとする政策を推進している。
それもあって、中央銀行を動員してこれでもかこれでもかと資金を市中に供給させている。
いってみれば、国や中央銀行が胴元になって株高を煽っているわけだ。
経済合理性など蹴飛ばしてでも、株高を維持しようとしているわけで、おそろしく人為的な株高操縦である。
事実、もうかなり前から市場の価格発見機能など、あってないようなものとなっている。
価格発見機能? その時々の需要と供給の力関係でもって価格が形成されることを指す。
需要と供給の均衡点、つまり経済合理性を反映した価格が経済の現場に発信されるわけだ。
そして、時々刻々と変化していく価格の上下変動でもって、新たなる経済活動を誘引していく。
それが、市場の価格発見機能であって、健全なる経済活動に不可欠の役割を果たすことになる。
ところが、昨今の国や中央銀行が胴元になっての株高誘導は、経済合理性などはなから無視している。
先ずは政策ありきの人為的な株高誘導を続けていると、どのあたりの株価が合理的な水準か見当がつかなくなってしまう。
だから、こんな株高など不健全きわまりないもの、一刻も早く吹っ飛んでもらいたいといっているわけだ。
バブル買いも、政策誘導の株高も消え去ってくれたところから、経済合理性に則った株価形成がはじまる。
それが、経済健全化への第一歩となる。