おだやかな日々が続いている間は、野の草や花は好き放題に伸びていて、まさに今盛んなりである。
そんな盛んな状態も、ひとたび強風が吹き荒れると一変する。 多くの野花はなぎ倒されて、見る影もなくなる。
ひとり、しっかり根の張って腰の強い草花はすくっと立っている。 それが、疾風に勁草を知るである。
この20年ほど、とりわけリーマンショック後は先進国を中心にして、かつてない規模での資金供給が続いている。
それが世界の株高や債券高を誘引することで、世界経済を辛うじてプラス成長にもっていっている。
米国などでは、共和党を中心にして政治家の多くが株高の恩恵をたっぷりと享受しているとのこと。
それが故に、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備理事会)に強烈な圧力をかけている。
政策金利をゼロ同然に引き下げさせたり、ふんだんに資金供給させているのも、株高維持のためである。
とはいえ、フワーっとカネあまり金融バブルに乗っかっているだけの株高や債券高だ。
いざ強風が吹き荒れれば、もともと根は浅く異常にバブル膨れした株高や債券高は無残な姿に一変しよう。
株価や債券だけではない。 カネあまりで持たせているだけの世界経済も、金融バブル崩壊でズタズタに引き裂かれよう。
よくよく考えてみるまでもなく、こんなカネあまりバブルに有頂天になっているのは危険である。
そもそも金利をゼロにして、経済活動など動くわけがない。 それどころか、リスク意識が薄れ企業経営が弛緩する。
それが、バブル膨れした張子の虎の様な株高や債券高を形成し、中身の伴わない金儲けとなっているわけだ。
また、野放図な資金供給は各国の財政を危機的に膨らませており、その限界に刻々と近づいている。
いざ限界となるや、もはや国や中央銀行は打つ手がなくなり、景気対策予算のバラマキどころではなくなる。
長期金利の急騰で国債発行に急ブレーキがかかるは、国債関連費の急増で財政赤字はさらに膨らむ。
株式や債券市場が暴落し、経済の現場は大混乱に陥る。 まさに、疾風に勁草を知るである。
そういった状況下に叩き落されても、人々の毎日の生活はなくならないし、それを支える企業活動も続く。
つまり、実体経済はなんら変わりなく続いているわけだ。 問われるのは、バブル崩壊の痛手を軽微でクリアできたかどうかだ。
個人も企業も、生活力というか本質的な力をもったところが、一気にのし上がろう。