10月の半ば頃に書店に並ぶことになる、日経マネーの連載にも書いた。
金融バブルも、いつ崩れに入ってもおかしくない状況にある。
こういう時は、せっかくのバブル高を絶好機ととらえ、どんどん売り上がっていって現金を確保するに限る。
もちろん売るのは、やたらとバブル買いされている銘柄群が主体だ。
この高値圏だ、いくらだって売れるし、結構な額の現金を手にしてしまえる。
それが後で効いてくる。 いざバブル崩壊となれば、売り逃げが殺到して、もう売れっこない。
いまの高値がウソだったような株安となるが、そうなっても思うように売れない状況下に叩き落される。
一方、このバブル高を売り上がっていった長期投資家は、手にしている現金で好き放題のバーゲンハンティングに入れる。
これまた、いまの株価がウソだったような価格で、より取り見取りで買い仕込みできるのだ。
機関投資家を含め一般の株式投資でバブルに最後まで踊っていた人達と、われわれ長期投資家とは決定的な差がつく。
もっとも、現在のようなバブル末期の売り上がりでも、株式投資ポジションをゼロにする必要はない。
それほどバブル人気となっていない銘柄群は、そのまま残しておいて構わない。
なぜなら、バブル崩壊の暴落相場となっても、あまり買われてこなかった銘柄群は、売りがさほど出てこないからだ。
売りが出てこないということは、早い段階で下げ止まる。 つまり、バブル崩壊の痛手を軽微で乗り切ることになる。
それどころか、新しい上昇相場の糸口銘柄ともいえる存在となっていくのだ。
いつのバブル崩壊の地獄でも、わずかに生き残ったマネーは、したたかにも次の儲けチャンスを狙いだす。
そういった、したたかなマネーが眼をつけるのは、早々に下げ止まった銘柄群だ。
これはいけるぞとなれば、たちまち集中買いが集まる。 それが、バブル崩壊後しばらくして出現するV字型の株価急騰である。
われわれ長期投資家はバブル崩壊を見越しても、売らずに手元に残しておいた銘柄群の多くが、V字型の株価上昇の波に乗ってしまうわけだ。
これは、痛快である。 バブル崩壊を軽微の打撃で乗り切り、崩壊後の上昇相場にごく自然体で乗ってしまえるのだ。
こう考えてくると、このバブル高をどんどん売り上がっていって、次の準備に入っておく戦略的価値を理解してもらえよう。