あの大恐慌も、ブラックマンデーも10月に発生した。 歴史の因縁か、10月は株式市場にとって大荒れの月である。
ずっと前から警鐘を鳴らしてきた金融バブルだが、その崩壊もいよいよはじまるのか。
その場合、どのようなバブル崩壊となっていくのだろうか? ふた通りの読みができる。
ひとつめは崩壊といっても、ブラックマンデーのように一日で20数%も株価が暴落ということにはなるまいという読みだ。
世界中で、これだけ大量の資金供給を続けてきたこともあって、ドスーンと下がってもすぐに買いが入ってくる。
カネあまりの勢いで戻すものの、バブル崩壊の途に入ったのが明白になってくるにつれて、どんどん戻りの上値は切り下がっていく。
大きく下がっては戻す展開を繰り返しつつも株式市場では、さすがに弱気筋が優勢となっていく。
最後は本格的な下げ相場への突入で、株価全般が次から次へと売り崩される修羅場となる。
株式市場の棒下げに直面して、当初はリスク回避ということで国債中心に債券市場への資金シフトがしばらくは進む。
しかし、株価下落でどんどん膨れ上がる資産デフレが現金不足と信用収縮を招き、資金繰りのため債券も売られはじまる。
それが債券市場大崩れの引き金となって、長期金利の急上昇と金融商品全般の総売りを招く。
これが、株式市場が先行して金融バブルが崩壊していくパターンである。
もう一つの読みは、企業や金融機関の債務不安が高じて、現金化の売りが世界の金融マーケット全般に広がる図式だ。
この場合は、金融バブルの全面崩れとなっていき、株価急落と長期金利急騰で金融も経済も大混乱に陥る。
こちらは時間軸も短く、一気に暴力的な大崩れとなってしまう。 下手したら、大恐慌を上回る経済混乱を招くことにも。
こう書いてくると、すごく悲観的な気持ちになるかもしれないが、その先は明るいから心配は無用である。
世界経済からみると積年の膿が一気に噴き出るだけで、むしろ健全化の途に就く第一歩となるのだ。
積年の膿? そう、資金さえ大量に供給すればのマネタリズムが吹き飛び、金利も資金供給量も正常化する。
また、年金中心に世界の機関投資家運用が資金運用に走ってきたが、ズタズタの結末を迎える。
機関投資家やアクティビストたちが毎年の成績を追い求めて企業を短期視野の利益追求に追い込んできたが、彼ら自身が自滅する。
多くの国の財政や中央銀行の財務は野放図に肥大化してきたが、それも長期金利の急上昇でブレーキがかかる。
どれもこれも、世界経済の正常化に避けて通れない道である。