予算バラマキ合戦、その先で待ち構えているのは?

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衆議院選挙に突入した。 与党も野党も、投票者の耳に良いことばかりを並べ立てている。

具体性に欠ける成長戦略やら、利益誘導みえみえの予算大判振る舞いやらを、これでもかこれでもかとがなり立てている。

国の財政赤字は悪化の一途をたどり、もう既に1200兆円もの借金があるというのに、そこには眼を向けようとしない。

それどころか、与野党ともさらに予算のバラマキを加速させようとしているわけだ。

たしかに、選挙民の関心を買うには、おいしそうな話を並べ立てた方がいいのだろう。

そして、晴れて国会に議席を得たとしようか。 その先では、一体なにが待ち構えているのだろうか?

おそらく、もうそう遠くない将来、選挙民に耳あたりの良いことばかりを並べてきた政治家たちに、鉄槌が下されよう。

世界的に空前の資金バラマキと、異常なるカネあまりで、金融バブルは膨れ上がる一途となっている。

それはそのまま、経済の現場でリスクに鈍感な投融資を野放図にはびこらせることになる。

ある日突然、どこかで信用不安が火を噴きだしたら、リスク回避の売りが世界中でパッと広がる。

それは、バブル買いで天井知らずの高騰を続けてきた債券市場や株式市場の暴落に直結する。

世界の金融マーケット全般が大崩れとなり、いまのカネあまりがウソだったような資金不足が世界経済を襲う。

信用は収縮し、長期金利をはじめとして世界的に金利水準は跳ね上がる。

それが、ゾンビ企業を中心にして、ゼロ金利で弛緩した経営に甘んじてきた企業の倒産連鎖を誘引する。

一方で、市場金利つまり長期金利の急上昇で国債発行に急ブレーキがかかり、各国の財政ファイナンスはとん挫する。

そうなると、もはや予算のバラマキどころではなくなる。 財政破綻の現実が迫ってくるのだ。

予算の大盤振る舞いを訴えて国会に議席を得た政治家たちは、このとんでもない現実にどう対処できるのだろうか?

バブル膨れしてきた世界の景気は一気にしぼみ、しばらくは不況感がまん延しよう。

その片方で、これまでの史上空前の資金供給で中央銀行の財務は急悪化し、お金の価値は大きく下がる。

となると、不況時の物価高、つまりスタグフレーションを襲ってくるわけだ。

人々の生活はいまのコロナ騒ぎ以上に大変なことになる。 といって、国も中央銀行も打つ手はほとんど残っていない。

まさに、ホンモノの政治家の出番となるが、さあどうなることやら。 別に、悲観論に走っているわけではない。

世界的なカネ膨れバブル経済がとん挫し、実体経済をベースとした、まともな社会への回帰がはじまったのだ。

むしろ、これは避けて通れない大混乱であり、われわれ長期投資家には待ってましたの展開となる。