夏も終わりの怖い話

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すごい表題となったが、夏だからといって怪談で涼を求めようということではない。

株式市場はじめ金融マーケットは、どこかで大崩れに入ると以前から指摘してきている。

後になってみれば、今年の夏が分岐点だったと語られるのかも。 それで、怖い話と書いたわけだ。

バブル相場は崩れ出してようやく、あれはバブルだったと皆の認めるところとなる。

崩れる寸前までは、マーケット参加者の多くがバブルの熱気に煽られているものだ。

ところが、最近はバブルの熱気といったものが、とんと感じられない。

世界的なカネあまりだからと、ただそれだけで金融マーケットは高値を維持しているといった展開だ。

もっとも、すごいカネあまりを背に受けて、売りの方もさっぱり出てこない。

そんなバブル高に、世界の債券市場も株式市場もフワーっと浮いているといった感じだろう。

こういった展開では、なにか突発的な事件なり悪材料が出ると、金融マーケットは即座に大崩れとなっていく。

もともと強烈なバブル熱気の中で、買いと売りとが激しく交錯して価格が形成されてきたわけではない。

株価でいえば、フワーっと買われて上がってきただけで、価格がこなれていない。

そんなところへ売りが集中したら、もうひとたまりもない。 たちまち大崩れとなる。

ひとたび大崩れに入ったら、金融マーケット全般に売りが連鎖していくのは間違いない。

逆いうと、バブル高している金融マーケットの、どの一角が崩れても棒下げは全体に連鎖していくのだ。

もうそうなると、売りが売りを呼んで、マーケットは阿鼻叫喚の下げ地獄となろう。

といっても、それは金融バブルが弾けた最初の一撃にすぎない。

そこから先では、巨額の投資損や評価損に苦しむ企業や金融機関が続出し、資産デフレの地獄が待ち構えている。

個人投資家も機関投資家も大きな痛手を蒙って、なお売るに売れない投資残に苦しむことになる。

その横で、カネあまりの現在では想像もできないような資金不足と信用収縮が経済に襲いかかってくる。

もちろん、債券市場の崩れで長期金利は急上昇し、国債発行に頼ってきた国家財政を直撃する。

こう書いてくると、まさに夏の終わりの怖い話だろう。 決して、空ごとではない。

買われたものは売られる、上がったものは下がる。 それが自然の摂理であり、経済合理性が働いた結果ともいう。