前代未聞のカネあまりが続いているが、その悪影響はあちこちに及んでいる。
悪影響? そう、リーマンショックやコロナ禍を乗り切るためと、世界はすさまじい金融緩和とゼロ金利政策を推し進めてきた。
金融システムを守るため、そして経済活動に支障をきたさないため、そういった理由でもっての政策であった。
しかし、とにもかくにもの金融緩和とゼロ金利政策が、どれだけの効果をもたらしたかは一度たりとも検証されていない。
コロナ問題が発生したから、そんな余裕はなかったというなかれ。 リーマンショックから10年が過ぎたのに、なんの成果検証もなされていない。
その間、大々的な金融緩和とゼロ金利政策を謳歌してきたのは先進国の金融業界である。
一方、先進国では所得格差の拡大や中産階級の没落が社会問題となってきている。 世界の貧困問題も解消されていない。
さて、ここまでは例外的に潤ってきたはずの先進国の金融業界だが、そろそろ悪影響を警戒すべき段階に入ってきた。
前代未聞のカネあまりを受けて、どこも危険な爆弾を抱え込むことになり、それがどんどん大きく膨れ上がっているのだ。
危険な爆弾? たとえば世界最大の運用会社、ブラックロックには900兆円を大きく超す運用資金が世界中から集まっている。
世界第2位の運用会社、バンガード社には560兆円の運用資金だ。 すごい金額だと思わないか?
そう、彼らは日本経済の1.7倍とか、少し上回る規模の巨額資金を預かって、それらを金融マーケット主体に運用しているのだ。
両社のみならず世界の運用会社は、どこもカネあまりを受けて途方もなく巨額の資金を運用している。
どこかで、金融バブルが弾けると、一体どうなるのだろう? 株式はじめ金融商品は20%~50%ほど下落しよう。
金融マーケットが暴落に入ったら、巨額資金の現金化など考えられない。 無理を強行すれば、自分の首を絞めるだけだ。
身動きできないまま、世界の運用会社はどこも売るに売れない投資勘定を抱え込んで苦しむことになる。
資金を預けていた各国の金融機関や年金など機関投資家は、巨額の評価損をどう始末するかで、やはり苦しむことになる。
壮大なカネあまりバブルの崩壊は、想像を絶するような投資損を引き起こす。 それは避けようがない。
われわれ長期投資家は、この金融バブルからは、できるだけ遠く離れておくことだ。