なんとも幸せなバブル買いが続いている。 前代未聞のカネあまりを良いことに、金融マーケットのあちこちで先高観が爆走している。
爆走? なんでもかんでも値上がりするだろう、そういった期待感が、いまでは確信めいた買いとなって爆発しているのだ。
その典型例が、SPACという「空箱」だ。 特別目的会社という意味だが、企業買収を目的とした会社を設立し、株式市場に上場する。
中身はなにもない、それこそ空箱みたいな会社ではあるが、そこそこ大きな資本金を集めて会社が設立された。
資本金だけはたっぷりあって、事業は何もやっていない。 だから、上場にあたっての取引所による企業審査は軽々とクリヤする。
さっと上場した上で、未上場企業の買収に入る。 それも、独自ではなかなか上場審査をクリヤできそうにない企業を選んでだ。
そんな企業も、いまや上場会社であるSPACに買収されたなれば、ごく簡単に上場企業になれてしまう。
ある日突然に、あまり知られていなかったが将来性のある(?)企業が、株式市場に新規登場してきた。
このカネあまり下、格好の投資対象が登場したということで、株式市場では一気に人気化し株価は急上昇する。
新規上場株人気で株価が急騰しているのを幸いに、SPACに出資していた連中は高値を売り抜けていって、大儲けする。
それだけでは終わらない。 株価急騰をいいことに、SPAC会社は大規模な公募増資に走る。
公募増資にあたって、当初からの投資家たちは持ち株を拠出することで、やはりまた大儲けする。
すごい錬金術と思わないか? 詐欺でもなんでもない、株式市場を通した堂々たる錬金術である。
取引所もどうかしている。 たしかに上場基準は満たしているが、公平公正な価格形成の場という社会的使命を捨て去ってしまっている。
こんな、おかしなことが白昼堂々とまかり通るのも、カネあまりバブルの一環としか言いようがない。
SPACに投資する人たちは、一連の流れが首尾よく展開していって当然とばかり、儲かるのを信じて疑わない。
あまり知られていなかった企業がSPAC会社として上場してきた。 それをみて、株価は大きく上がるだろう、一刻も早く買おうと、多くの一般投資家が買い群がってくる。
これらのどれにも、儲かることしか念頭にない、バブル買いの匂いがプンプンする。
そんなバブル話が永久に続くわけがない。 どこかで歯車が逆回転をはじめたら、投資損の大爆発となろう。