いまさらながらに感心するのは、株価の先行きを楽観する投資家たちの「いいとこ取りぶり」だ。
世界中で前代未聞の規模で資金が供給されているのに、経済の現場での資金需要はそれほどでもない。
したがって、大量供給された資金のかなりの部分が行き場を求めて、ホットマネー化する。
ホットマネーは、コロナ禍でも値動きのいい株式市場に流れ込むだろう。 そういった想定で、株式をガンガンに買い上がる。
幸い、DX(デジタル革命)とかネット社会を先取りして急成長している企業が、次々と躍り出てきている。
それらを買おうと、マネーはどんどん株式市場に流入してくるから、多くの株価は宙を舞う。
一部の企業のすさまじい株高をみて、連想買いが他の企業へと広がっていく。 それで、株式市場は大活況となる。
そうこうしている間に、経済の現場が復調をはじめ、昨年のマイナス成長からプラスに転じだした。
昨年に大きく落ち込んだ水準からのプラスだから、数字上は自然と大きくなる。
すると、今度はプラス数字の大きさを買おうと、株式市場はそちらに矛先を向ける。
それも、通常の株式相場のように、先行していたDXとかネット社会関連の銘柄からの乗り換えではない。
すごいカネあまり状態にあるから、続々と続く流入マネーが業績回復に買い群がる。
かくして、株価全般はさらに上値追いの様相を見せる。 そこへ、米バイデン政権による275兆円のインフラ投資ときた。
それっ、インフラ関連を買えと、またまた株式市場は新規のホットマネーに流れ行く先を与えた。
ご機嫌なのは、バブルに踊っている投資家たちである。 次から次へと買い増しの材料が浮き上がってくる。
そして、カネあまりが続いている。 先行きの株高に対する楽観が強まる一途となる。
まさに、「いいとこ取り」の株価上昇である。 さあさあ、この先どうなっていくのか?
ひとつ、はっきりしていることがある。 世界的なカネあまりをいいことに、売りがほとんど出てこない。
通常の上昇相場では、上へ行くほど多く出てくる売りをこなして、さらに上がっていく。
そう、幾度となく値固めを経ての上昇相場となっていく。 つまり、株価が鍛えられているのだ。
ところが、今回は値固めをまったくといっていいほどしていない。 苦労知らずのお坊ちゃまみたいな上昇相場である。
ということは、なにかの加減で売りが出たら、株価のガタ崩れは避けられないだろう。
それが、バブル崩壊の引き金となろう。