新聞などで、投信などの運用成績を比較した記事をひんぱんに見かける。
1年では話にならないが、3年とか5年といった期間での成績を比較して、各社の運用能力を云々しているのがほとんど。
報道する立場からすると、多くのファンドを横に並べて比較検討する方が、より客観性の高い情報となる。
したがって、そういった記事にとやかくはない。 むしろ、国民の投資マインドを高める意味での啓蒙としての役割を評価しよう。
問題は、投資家がどういった目的で投信を購入するかで、そういった成績比較は罪つくりの情報となりかねないことだ。
もちろん、2~5年の時間軸で次から次へと成績の良い投信に乗り換えようという投資家にとっては、そういった記事はありがたい。
ところが、最近ますます増えてきている新しい投資家層、つまり老後に備えての財産づくりを意識している人たちにとっては要警戒である。
そういった若い投資家たちは、これから20年30年といった時間軸で、じっくりと財産づくりをしていきたい。
それに対し、過去3年とか5年の運用成績が、果たして今後も20年30年と続いていくのだろうか?
是非とも知りたいところだが、それは新聞記事の範疇外である。 先のことだから誰にも分からないと言われれば、それで終わり。
ならば、10年~15年ぐらいの成績比較でもって、投信各社の運用能力をチェックするか?
これまた、当てにはならないのだ。 2007年8月の米サブプライムローン問題から、2008年9月のリーマンショックを経て世界の株価は大きく下げた。
その頃から、あるいはしばらく後に、産声を上げた投信ファンドは、株価全般が大きく下げていた頃からの運用である。
当然のことながら、ここまでの運用成績には株価の大幅上昇に押し上げられてきたプラス部分も入っている。
そういった、絶好のタイミングでスタートした投信ファンドが、今後の相場変動を難なく乗り越えていけるかどうかは未知の世界。
本当に大事なのは、20年30年の安定的な運用実績なんだがね。