長期投資は、焦らない

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隣の芝生は青く見える。 その典型が、一般の株式投資でよく聞かされる、なんともやるせない泣き笑いである。

買っている株がちっとも上がらなくて、横の株がどんどん買われている。 その差がみるみる開いていく。

そうなると、やたら焦りが出てくる。 銘柄の選択が失敗だったのではないかと思い悩む。

そう思えば思うほど、「どうしよう、乗り換えた方がいいのではないか」と、ますます焦ってくる。

焦っている間にも、株価の差は広がっていくばかり。 もう我慢できないと、保有株を売って隣の値動きの良い株へ飛び乗る。

往々にして、そのあたりが株価の天井で、あろうことか飛びつき買いした株が値下がりを始める。

皮肉にも、それまでうんともすんとも言わなかって、最後の最後に見切って売った株がスルスルと上がりだす。

しまった、もう少し我慢しておればよかったと地団駄踏んでも、後の祭りとなる。

こういったチグハグ投資は、儲けよう儲けよとする投資家の間で、しょっちゅう起こる話である。

株価が上がりそうならどんな企業でもいい、儲かりさえすれば良しで、株式市場に飛び込んでいくと隣の芝生は青く見え続けるものだ。

そういった目先のドタバタ投資に加え、大局観も見失って大損を食らうことも、よくある話だ。

大局観? 投資環境ならびに現在進行している相場の質とその行き着くところだ。 それを読み違えると、決定的な痛手を蒙る。

相場のことは相場に聞けで、目先の相場動向なんて神のみぞ知るの世界。 下手な株価予測で右往左往したところで、骨折り損のくたびれ儲けとなるだけ。

では、大局的に相場を見るとは? ちょうど、いまがそうだ。 10年越しの金あまりバブル相場が続いており、それにどう付き合うかだ。

コロナ問題もあり、世界経済の動向つまり投資するためのファンダメンタルズ(経済的基礎条件)からすると、とても買える状況にはない。

しかし、前代未聞の規模で資金供給が続いており、バブル株高を強力に下支えしてくれている。

いってみれば、なんとも質の悪い株高である。 バブル高が一体どこまで続くのかは知れないが、しょせんはバブル高である。

いつかどこかで、ファンダメンタルズの弱さに引きずられて、バブルは大崩れとなる。 それは避けようがない。

いずれは起こるバブル崩れを念頭に置きながら、いまは軽めの相場参加でいく。 決して、ガンガンにのめり込まない。

銘柄選択も、儲かりそうな株ではなく、バブルが大崩れしても持ち続けようと思える企業の株だけだ。

そう遠くない将来、金あまりバブル相場の大崩れが到来しよう。 その時までは、この姿勢を崩すまい。