マーケットつまり市場には、いろいろな機能がある。 需要と供給の調整とか、価格発見機能とか、等々。
忘れてはいけないのが、市場のウオーニング(警告)機能である。 経済合理性への回帰を促す働きといってもいい。
経済合理性? そう、マーケットがオープンで、その運営が公平公正であればあるほど、世界中から不特定多数の参加を得る。
不特定多数の自由なる参加を得て、その時々の需要と供給の力関係が調整されていくことで、公平公正な価格が形成される。
その価格情報をベースに、次なる経済活動を誘引することになる。 きわめて合理的な経済活動の促進を支えていくわけだ。
ところが、時として需要あるいは供給の力がどちらか一方に、大きく偏った価格形成をしてしまうこともある。
経済合理性からあまりにかけ離れると、マーケットはウオーニングを発し、その偏りにブレーキをかける働きをする。
たとえば、放漫財政で国債を大量発行するとしよう。 そのニュースに接するや、マーケットは国債の供給過剰を警戒する。
つまり、市場に流通している債券に売りが出てきて、市場金利の上昇を招く。 それはそのまま、国債の発行金利を押し上げることになる。
発行金利が上昇すれば、国債を発行しようとする側にとってはコスト高となる。 その結果、発行額を減らしたり、発行を断念することになる。
これが、マーケットのウオーニング機能であり、経済合理性をベースとした需給調整が自動的になされるわけだ。
ここからが、今日の本論である。 マーケットのウオーニング機能が抹殺されて久しい。 極めて危険な結果をもたらすことになろう。
すなわち、日本では1995年からの超低金利政策、世界ではリーマンショック後のゼロ金利政策をどんどん深堀している。
各国やその中央銀行が止まることを知らない金融緩和政策に走っており、マーケットのウオーニング機能を抹殺してしまっているのだ。
それをよしとして、各国はタガの外れたように財政支出を拡大するは、国債を野放図に発行するはに、まったくブレーキがかからない。
このままだと、行き着くところまで行ってしまって、みなまとめて奈落の底へ落ちていくことになろう。
われわれは、どうやって浮いていようか? そこが、長期投資の真価発揮である。