新著の原稿がゲラとなって上がってきたので、それを入念に手直しした。
あれだけ丁寧に原稿をチェックしたのに、ゲラとなって上がってきたのを見ると、さらに手を加えたくなる。
全体を眺めながら、あれこれ手を入れていくと、意外に時間がかかる。 それも、ようやく終わった。
あとは最終のゲラを、チェックするだけだ。 これで、予定通り5月20日前後には書店に並ぶ。
書いていて、つくづく考えさせられたのは、日本も世界も経済は相当に荒れるだろうなということだ。
新型コロナウイルスの感染抑止で、世界経済は空白状態となっている。 人々の生活や企業活動がズタズタになってしまった。
それで、世界はタガの外れたような財政支出と大量の資金供給に踏み切っている。
いまは、ああだこうだ抜きで感染抑止と生活や経済の再建が優先される。 それも、一刻も早くにだ。
問題は、その後である。 感染抑止さえなれば、経済活動の回復は急速に進むだろう。
その先では、強烈なバブルが訪れる。 金あまりバブルの再燃だ。 とはいえ、そう長くは続かない。
金融緩和政策は限界に近いことを、マーケットは察知してしまっている。 それで、ひんぱんに売りが出てきては買いの勢いをそいでいき、徐々にバブルを崩していく。
再燃バブルが崩れると、今度は大変である。 資産評価損、債務超過、不良債権、信用収縮、企業倒産、金融機関の経営不安といった、バブル崩壊ではつきものの問題が噴き出てくる。
それに対し、もはや各国政府も中央銀行も打つ手はないも同然。 すでに財政は相当に悪化しているし、中央銀行の財務も異常に膨れ上がっている。
したがって、再燃バブルが崩壊しても、さしたる対策も打てないまま事態を放置するしかない。
その結果、世界経済は相当に荒れることになろう。 また、インフレの火も燃えはじめる。
修羅場といった事態も覚悟しておこう。 それは、世界経済の健全化に向けて、避けて通れない道である。
そんな中、われわれ本格派の長期投資はがぜん輝きを増すはず。 なにしろ、長期投資の拠って立つところが普遍的なものなのだから。
すなわち、世の中でなにがあっても人々の生活と、それを支える企業活動はなくなりっこない。
その当たり前の当たり前に向かって、ようやく世界経済は落ち着いていくのだ。