NYの原油先物市場で昨日、マイナスの価格がつくという異常な事態となった。
5月限りの現物を受け取って、その代金を支払うどころか、お金ももらえるのだ。 嘘みたいな話が現実となったわけだ。
コロナウイルスの感染拡大阻止で、人々の移動制限から都市の閉鎖(ロックアウト)まで、各国はあらゆる対策を講じている。
その結果、世界の経済活動が空白状態になってしまった。 当然のことながら、原油の需要は大きく落ち込んだ。
それに対し、原油の生産は続いている。 サウジやロシヤなど主要産油国で減産に合意したものの、それでも供給過剰の状態が続いているわけだ。
各国の原油備蓄も満杯に近づいており、原油価格の低迷は今後も続きそう。
産油国にとっては、抜き差しならぬ状況だが、日本など消費国にとっては悪い話ではない。
それでも、昨日のNY市場も今日の東京でも株価は大きく下げた。 これは、何を示唆するのだろう。
考えられるのは、米国のシェールオイル産油会社が経営難に陥って、企業破綻が続出する懸念だ。
それは、産油会社が発行している低格付け債(ジャンク債)のデフォルトにつながり、金利上昇を招くことにもなる。
そういった不安が株価下落を誘ったと考えられる。 投資家心理がリスク過敏症になっている、一つの兆候である。
われわれ長期投資家は、なにも慌てることはない。 原油価格の下落は毎日の生活にも、応援したい企業の業績にもプラスである。
だから、今日みたいな下げは、ご機嫌の買い場となる。 今後も、似たような下げは頻繁に起ころう。
毎度の繰り返しだが、人々の生活にしっかり足を下した長期投資家は、マーケットの下げにひるむことなく買いの姿勢を貫こう。