しばらく前までは、毎月分配型の投信が大ブームを満喫していた。
投信の運用益から分配金を出していては大したことない。 それで、元本を取り崩して分配金にあてるようになった。
特別分配金という名称にしたものの、元本を削っては毎月の分配金にあてているだけ。 タコが自分の足を食うようなもの。
より高額な分配金を出しては、投信販売につなげようとする競争が、どんどん加速していった。
高額の分配金を喜ぶ投資家は、自分の元本がどんどん削られているのを知ってか知らずか、それほど気にしない。
元本の取り崩しがあまりに酷くなっていったので、さすがに金融庁も投資家保護の姿勢を強めた。
投信各社も金融庁の強い姿勢に敬意を表して、毎月分配型の投信の販売を自粛しだした。
そして、いまや販売手数料を下げたり、信託報酬の低いインデックス型の投信の販売競争に、のめり込むようになった。
こちらは、投資家の利益を考慮してという大義名分を堂々と打ち出せる。
もちろん、販売手数料などゼロでいい。 われわれ直販の投信は、はじめから販売手数料などゼロだ。
ただ、そうすると販売会社は一体なにで飯を食っていくかが問題となる。
一般的には、証券代行手数料というのが投信会社から入ってくる仕組みとなっている。
投信会社からすると、定められた率の信託報酬を得る。 そこから、信託銀行には受託代金を、証券や銀子など販売サイドには証券代行手数料を支払う。
ということは、いま信託報酬をどんどん引き下げていく競争に入っているが、さてこの先どうするのだろうという疑問が湧いてくる。
証券も銀行も投信販売するのは、それなりの収入が期待できるからのこと。
ところが、その原資となる信託報酬がどんどん下がっていくと、いずれは儲からないビジネスとなってしまう。
さて、ここから先が考えどころ。 信託報酬の引き下げ競争で、投信会社はもちろんのこと、証券や銀行の収入も減ってしまう。
それでもって、一体どうやって投信ビジネスに携わっていくのか、大いに疑問を感じる。
いくらインデックス型の投信はコンピュータ運用でコストがかからないといっても、信託報酬の引き下げには限度がある。
その中から、販売サイドが十分に満足する代行手数料を支払うとなると、ちょっと大変である。
まさか、儲からない投信ビジネスからは撤退すると、証券や銀行が言いだすとは思えないが。
さあ、ここから日本の投信業界は一体どうしていくつもりなのか見ものである。