相場の見通しが難しくなってきた? 相場の先読みなんて、昔から難しいと決まっている。
多くの専門家やら識者やらが相場の見通しを立てるが、当たったり外れたりの繰り返しである。
もし百発百中で見通しが立てられるなら、予想などで時間を潰すよりも実際に儲けてしまった方が、よほど賢い。
つまり、相場の読みがそれほど難しいから、ああだこうだの相場観が星の数ほど湧き出てくるのだ。
もちろん、すさまじい上昇相場なら予想屋などの、ご託宣は必要ない。 さっさと上昇相場に乗ってしまえばいいのだから。
では、株式投資の一体なにが難しくなってきたのか? 株価形成が相場とはとうてい言えないような代物になってきたことだ。
相場とは経済現場の需要と供給の、その時々の力関係を反映させたものである。
時々刻々と決まっていく価格が情報となって、新たなる経済行動につながっていく。
これを、マーケットの価値発見機能という。 この瞬間までの価格の推移でもって、需要と供給の動向が読みとれ、次なる行動のヒントとなる。
ところが最近は、世界中の機関投資家のほとんどが短期のディーリングに走っている。
巨額の資金をバックに、1秒間に1000回を超す売買を繰り返して、超小刻みに値ざやを稼ごうとする。
コンピュータにやらすのは、上下どちらでも構わないから、とにかく値ざやを稼げという単純作業だ。
経済活動の需要と供給など、どうでもいい。 とにかく値ざやを稼げればいい、それも上でも下へでも連続して稼ぎ続けたら良しだ。
もともと巨額の資金を運用する機関投資家が、世界的な金余りを背景に瞬間ディーリングに群がっているのが、昨今の世界の株式市場である。
そんな相場とはとても言えない代物を相手にして、株式投資をしていくなんて考えるだけでもゾッとする。
大体からして、個別企業の業績や今後が株価に反映される前に、インデックスの先物などがディーリング売買で動いてしまう。
個々の企業のどうのこうのなどはまったく考慮せず、株価全体を買ったり売ったりのディーリング対象とするのだ。
すさまじい勢いでディーリング売買が繰り返している中で、反映されるのはせいぜいマクロ指標ぐらいだ。
そんな十派ひとからげの荒っぽい株価形成を前にして、個々の企業の株価の先行きを読もうなんて、どう考えても無理である。
どうしたらいい? われわれの長期投資なら簡単である。 いつも相場からはつかず離れずの立ち位置を保っているのだから。
ディーリングの連中がどう無茶苦茶をしてくれようと、それを横目で眺めていればいい。
その上で、前々から選んでおいた長期の視野で応援していきたい企業を、なにかの加減で大きく売られたら買いに行けばいい。
それだけだ。 楽でいいし、なによりも相場に振り回されないから、マイペースを守れる。
みててごらん、われわれ長期投資家がますます有利になっていくから。
今週は、歌手のオーディションでイタリアへ行くので、長期投資家日記はお休みです。
次回は来週の月曜日です。