来週の金曜日、8月23日に、さわかみファンドは設定後20年を迎える。 20年という長寿ファンドになるのだ。
日本の投信で、それもまともな運用をしてきて20周年を迎えるのは、極めて例外的である。
ほとんどのファンドは設定後1~3年ぐらいは運用するが、その後は野たれ死に状態に放置される。
どういうこと? 投信会社は販売サイドと組んで、その時々で人気になっている投資テーマを題材にした新ファンドを設定する。
マーケットでも大騒ぎしているのをよいことに、「この投資テーマに乗りましょう」と営業をかけて、新ファンドを大量に販売する。
新ファンド設定時にどれだけ販売したかが勝負。 その時点で、販売手数料をガッポリ稼いだら、後は成り行きに任すだけ。
たいていの投資テーマは、そう長く続かない。 1年もしないうちに天井を迎え、相場は下げに転じる。
すると、大きな投資収益を夢みて新ファンドを購入した投資家たちは、ファンドの値下がりにガッカリして大慌てで解約に走る。
これが大量設定、大量解約という日本の投信業界に昔から巣食っている悪弊である。
ファンド設定後1年ぐらいで大量解約の嵐となる。 もうそうなると、解約に備えた現金づくりに追われて、まともな運用などできない。
頑張って運用して基準価額をたとえすこしでも持ち直したら、待ってましたの売りが殺到する。
つまり投信会社にとっては、そのファンドの運用を流してしまうのも、頑張って運用するのもおなじ結果となる。
どっちみち、解約の流れは止められない。 そして、そのファンドは顧客資産がずるずると萎んでいくだけの野たれ死に状態に陥る。
そんな残骸のようなファンドが積もり積もって、6400本を超す投信を業界は抱え込んでいるわけだ。
投信会社からみると、1社で500本を超すファンドを抱えているところが、ゴロゴロしているのが現状である。
そんな投信業界で、1本のみのファンド設定で、20年もまともに運用しているなんて、さわかみ投信をおいて他にない。
もちろん、成績も抜群である。 というか、20年の運用成績を誇れるファンドなど、ほとんどないのが日本の投信業界である。
そんなこんだで、さわかみファンドの20周年は、日本の投信業界にひとつの歴史を刻むことになる。
といっても、さわかみファンドは50年100年の時間軸で、一般生活者の財産づくりをお手伝いしていくのだ。 20年なんてのは、単なる通過点に過ぎない。
それでも、20年は20年、素直に喜びたいし、一緒に走って来てくれたファンド仲間に感謝したい。