グラッときたね、まだ走りだけど

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NYダウ平均株価は767ドルの急落となった。 今年最大の下げ幅とのこと。

前日の東京市場の下げは、急激な円高を嫌気してのもの。 毎度おなじみの円高恐怖症による単純反応である。

一方、NY市場の下げは米中貿易摩擦による世界景気への影響や、中国の元はじめ新興国通貨の下落がもたらす金融市場の混乱などを織り込んでいる。

それだけ、いろいろ考える材料を与えてくれる。 マーケットのことだから、先々どうなるかは神のみぞ知るのところ。

それでも、今後の展開可能性をあれこれと読んだり、早々と行動に移すのは個々の投資家の自由である。

すこし整理しよう。 ずっと前から書いてきているように、2008年9月に発生したリーマンショックの後始末は終わっていない。

ドイツ銀行の窮状に代表されるように、世界的な金融バブルの後始末は遅々としている。

それに対し、米欧日中の中央銀行が空前の資金供給というペンキの厚塗りで、問題の顕在化を抑え込んできた。

大量の資金供給は債券高と株高をもたらし、その資産効果が米国を中心としたバブル経済を助長して今日に至っている。

たしかに株価全般や不動産価格はずいぶんとバブル高してきた。 その横で、GAFAと呼ばれるIT企業は急成長した。

それらは世界的な金あまりがもたらしたバブル景気の一環でしかない。 世界経済の健全なる成長という観点からすると、どうももの足りない。

そこへ米中の貿易戦争で、世界貿易そのものがスローダウンしだした。 こちらは世界景気をもろに押し下げる。

新興国通貨の下落は、輸出にプラスという面もあるが、それよりもドル建て借金の重みと資金流出が、新興国経済に大きな打撃を与える。

この辺りが複雑に絡み合ってきているように思われる。 つまり、大量の資金供給で糊塗してきたものの、リーマンショックの後始末は避けようがない。

そして、金あまりバブルで膨らませてきた張ぼて景気は、中身が乏ぼしくそうそう長続きしない。 ひとたび穴が開いたら一気にしぼんでしまう。

これらのマイナス現象が、いつ起こってもおかしくない状態にあった。 その走りが出だしたのかなという感じだ。

そこで、われわれ長期投資家だが、なんの恐れることもない。 なにが起ころうと、地球上75億人の毎日の生活は続く。

それを支える企業活動は一時として止ることはない。 そこだけに焦点を当てている長期投資家にとっては、ここからの大きな下げはトコトン買いの姿勢でいくだけのこと。