日本経済はもう29年間にわたって低迷停滞の泥沼にあえいでいる。 国民の間で将来に対する不安はじわじわと広がっている。
経済低迷の最大の要因は、成熟経済の段階に入ったこともあるが、なによりも人々がお金をつかおうとしないからだ。
どうして、お金をつかわない? 将来が不安だから、できるだけお金はつかわず預貯金にしておく、という人が圧倒的に多い。
どっちが先かというよりも、どちらもがニワトリと卵の関係となって、日本経済をどんどんダメな方向へ追い込んでいる。
この悪循環を誰も断ち切ろうとしない。 それどころか、日本経済が置かれた状況が悪化するのを、ただオロオロとするばかり。
国民はお金をつかわず、せっせと貯め込む。 マイナス金利で、預貯金から生み出される富(利子収入)はゼロ同然だというのに。
一方、国は景気回復やデフレ脱却に躍起で、抱え込んだ借金は1100兆円を超えた。
残念ながら、国がいくら予算を投入しても経済活動の活性化にはつながっていかない。
やはり、891兆円もの預貯金を抱える国民が消費でも投資でも寄付でも、お金をつかうことだ。
たとえば、891兆円の3%が寄付にまわれば、それが消費に向かうことで日本経済は即座に4.8%成長するのだ。
日本経済が4.8%も成長すれば、国民全体の所得増加につながり、まわりまわって自分に戻ってくる。
つまり、寄付でお金をまわして一時は手持ちのお金が減っても、時間のずれで殖えて戻ってくるのだ。
これが、経済活動というものである。 とにかく、お金はまわさなければならない。 それが経済活性化につながっていくわけだ。
とはいえ、預貯金者の全員に寄付しようとか、お金をつかおうといっても、なかなか動いてはくれない。
やはり、動ける人から動く。 わかった人から、お金を意識してつかうようにしよう。
日頃の消費にプラスして、カッコ好くお金をつかう。 長期投資に資金をまわす。 積極的に寄付をする。
これらのどれでもいい。 とにかく、意識してお金を経済の現場にまわすのだ。
日本経済の活性化には、お金をつかうしかないと腹に落とし込んで、動き出そうではないか。
お金をつかえと言われても、自分に何の得にもならない? たしかに長期投資以外は、一方的に資金が流出するだけと思いたくもなる。
そこのところを吹っ切るところから、成熟経済ニッポンの復活がはじまるという意識を広めようではないか。
70年代から80年代の前半にかけて、英米はじめヨーロッパ経済が成熟経済の泥沼から抜け出した、ひとつの要因はここにある。
経済はお金をまわすことだ。 であるならば、お金をまわせる人から動く。 それしかない。