経済政策の大転換を

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日本は1995年4月に公定歩合を1%に下げ、9月には0.5%に引き下げて以来、ずっとゼロ金利政策を続けている。

当初は銀行の不良債権処理を促進させるため、そして企業活動の活発化で景気てこ入れを狙ってのものだった。

2002年3年に小泉政権が強力な不良債権最終処理を断行してからは、デフレ対策がゼロ金利政策の主眼となった。

それ以降、日銀はマイナス金利を導入するは、国債を毎年80兆円ずつ買い増しするはと、デフレ克服にあらゆる対策を講じている。

果たして、その効果は? もう24年も経っているのだ。 ゼロ金利政策の効果を検証すべきだろう。

これまでのところ、日銀の資産を4倍に膨らませるほど大量の資金供給で、日本経済は辛うじて1%ほどの成長を維持している。

一方、デフレ克服の目処としてきた、2%のインフレ目標にはまったく手が届かない。

つまり、ゼロ金利政策はほとんど効果を出せていないといえよう。 大量の資金供給も、企業の投資意欲を引き出すより内部留保の積み上げに向かっている。

なのに、官庁エコノミストや学者先生は一層の金融緩和を唱えるばかり。 それどころか、米国の経済学者達の新説(珍説)の実験の場にさせられている。

そろそろ、思い切って方向転換してはどうだろう。 日本人の行動習性に合った経済政策に切り替えるのだ。

昨年末で、個人金融資産における預貯金は891兆円だった。(日銀速報) それに、タンス預金を加えると、940兆円ほどになる。

資産を2倍にするのに1万年近くかかる超低金利下でも、預貯金にしがみつこうとするのが日本人の大半。

本来なら、その10~20%ぐらい長期投資に向かっていておかしくないところ。

それだけで、日本経済に対し17%~34%もの巨額な資金供給となる。 日本経済はいくらでも活性化するはず。

ところが、投資はとんとダメな日本人。 だったら、ゼロ金利政策を止めて、2%~3%の利子を復活させてやろう。

そしたら預貯金からは、源泉税引き後で15兆円から22兆円ほどの利子所得が家計にもたらされる。

その半分が消費にまわるだけで、日本経済は1.4%~2.1%の成長となる。

国の借金が増えるだけの景気対策などを講じなくても、2%ぐらいの成長が期待できるのだ。

金利コスト復活で、これまで弛緩しきっていた企業経営に活が入れられる。 金融機関の経営も安定する。

では、ゼロ金利政策を解除して、どんなマイナス面が出るだろうか?

900兆円を超す国債の発行残高を抱えている国は、借り換え債と新発国債で毎年100兆円ほど国債を発行している。

その金利コストが跳ね上がる。 現在のゼロ同然から、年3兆円ほど支払金利が増加する。

しかし、金利復活で家計の預貯金から源泉税が年3.7兆円から5.6兆円ほど入ってくる。 それで十分に賄える。

他に、ゼロ金利解除がもたらすマイナス面は? ゼロ金利でかろうじて息をつないでいるようなゾンビ企業は経営難に陥ろう。

それは、日本経済活性化に避けて通れない道である。 一時の混乱を超せば、むしろ日本経済にプラスとなろう。

不動産は株価に悪影響? 金あまりでバブル気味だった価格が是正されるのは、長期的には大いにプラスである。

こうみてくると、一刻も早くゼロ金利を解除した方がいいと考えるが、どうでしょう?