大自然の力、時間のエネルギー

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あれだけ猛暑だ、真夏日だといっていたのに、いつの間にか朝の涼しさを越えて、寒いという季節になっている。

夏が去り、秋が訪れる。 そのまま冬になり、春の陽ざしを待ち焦がれるようになる。

この四季の移り変わりは、途方もないエネルギーでもって進んでいく。 人間の力などでは、絶対に止められない。

同じように、時間の経過でもって蓄積されるエネルギーも、凄まじい力を持っている。

われわれの長期投資は、大自然のエネルギーとまではいかなくとも、時間のエネルギ-をたっぷりいただこうとする。

長期投資でいう時間のエネルギーとは、人々の欲得計算と心理が波のように寄せては返す、うねりのようなものである。

株価などの相場は、その時々の買いと売りの力関係で、上がったり下がったりを繰り返す。

買いがどんどん集まっていくにつれ、株価上昇のピッチが上がる。 それを見て、儲かりそうだの買いが、さらに広い裾野から集まってくる。

人間の欲得心理が、大きな買いエネルギーとなって、上昇相場をどんどん加速させていく。

すこしばかりの悪材料など踏み散らすようにして、株価上昇のエネルギーは爆発していく。

これを大相場というが、株式市場では高値追いの買い熱気でムンムンしてくる。

ところが、なにかの加減で株式市場にヒンヤリした空気が流れるや、寸前までの大相場にも急ブレーキがかかる。

上昇相場の勢いがなくなったとみるや、人々の儲けたい心理が要警戒から損したくない心理に一転する。

そして、早めに売っておこうとする行動がドドッと出てくる。 大相場が天井を打って、下落に転じる瞬間だ。

そこから先は、売りが売りを呼ぶ展開で株価は急落していく。 もうそうなると、株式市場は売り一色となり、買いのエネルギーなどどこかへ失せてしまう。

われわれ長期投資家は、そういった状況となればなるほど、これはと思う企業に対する応援意欲が高まってくる。

暴落あるいは下落相場だから、いくらでも応援買いを入れられる。 つまり、好きなだけ買い仕込める。

大事なのは、そこから先だ。 たしかに今は、誰も買おうとしない。 むしろ、売っておきたいという意識の方が強い。

株価下落や暴落相場に直面して、どの投資家も損したくない心理が前面に出るあまり、その企業の将来価値に対する判断を放棄している。

しかし、どんな下げ相場も売りが出尽くせば、上昇に転じる。 すると、買いが少しずつ集まるようになる。

買いが買いを呼んで、上昇相場の様相が強まってくるや、人々の儲けたい心理はググッと膨れ上がっていく。

売りが出尽くしたところへ、人々の儲けたい心理が高まっていけば、株価の上昇エネルギーはどんどん大きくなっていく。

ましてや、企業の将来価値を無視して売り叩いてしまった。 損したくない心理が収まれば、本来の価値を買おうとする投資行動が出てきて当然である。

これらの買いエネルギーをたっぷりいただこうとするのが、長期投資である。

つまり、われわれは皆が売る安い間に、買い仕込んでおいた。 皆がドドッと買ってくるや、株価はどんどん上がっていく。

その波に乗って、われわれは評価益を高めていくわけだ。 そして、どこかで利益確定の売りを出し始める。

これが、長期投資でいう時間のエネルギーをいただくということである。 人々の損したくない、儲けたい心理を先取りしていくわけだ。