長期金利が0.12%まで上がってきた。 日銀の金融緩和姿勢の微妙な変化を、マーケットは敏感にかぎつけて反応してきたもの。
とはいえ、こんなもの走りもいいところ。 これから幾度となく小戻しを繰り返しながらも、長期金利は上昇の道を進んでいこう。
ひとつには、日銀の金融緩和姿勢に変化の兆しが見られ出した点が挙げられる。
限りなくゼロ水準に抑え込むと言っていた日銀のマイナス金利政策は、0.1%までは容認しようとなって、最近では0.2%まではというところまで来た。
米国の中央銀行にあたるFRBは出口戦略、すなわち金融と金利の正常化を着々と進めている。
その流れで、米国と日本との金利差が開いていくと、それだけ円安誘導の非難を浴びやすくなる。
海外からの批判や非難には、からきし弱いのが日本の政と官。 円安誘導の批判は未然に防ぎたい。
それが、長期金利の0.2%までの容認となったきたわけだ。 そういった、なし崩し的な金融緩和政策の見直しは、今後も続こう。
もうひとつが、マーケットからの圧力である。 かつてジョージソロス氏が、英国の中央銀行にあたるイングランド銀行と渡り合って、真っ向から英ポンドの売り崩しを仕掛けたのは有名。
そこまで華々しくなくても、マーケットからの圧力は日銀といえども抗しきれないほどの威力をもっている。
長期金利の上昇をみて、国債などくを保有している債券の値下がりを恐れた売りが、あちこちから五月雨のように出てくる。
この五月雨的な売りは不特定多数の債券保有者から出てきて、徐々にスコールのような土砂降りの売りに広がっていく。
もうそうなったら、誰も止められない。 保有債券の価格はどんどん下がっていく。 それはマズイと売りに出せば、債券価格の下落をさらに加速させる。
この悪循環で、債券市場は地獄絵のような展開となっていく。 ちょっと想像できないだろう。 だから、まだ走りと書いたわけだ。
事実、1970年代そして80年代の前半にかけて、債券投資家は地獄をのたうちまわっていた。
その経験者は、もいうほとんどいない。 世界的にみても、債券は安全と信じる人がほとんど。
だから、債券の値崩れは徐々に徐々に進んでいくわけだ。 そして、どこかで修羅場に一変する。
はっきりしているのは、ここまでの超低金利で債券価格は天井圏にあった。 しかし、金利の正常化で長期金利は上昇の途に就いた。
となると、債券投資の値下がりリスクは今後どんどん大きくなっていく。 そんなものからは、一刻も早くおさらばしておこう。
そして、長期の株式投資にシフトしておくことだ。 それが一番安全であり、投資妙味も大きい。