金利は上がるのが自然

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先週も触れたが、長期金利が上へ行きたくてピクピクし出している。 それはなるものかと、日銀は無制限の国債購入で長期金利の上昇を抑え込もうとしている。

目先の抑え込みはともかく、長期的にはいかに日銀といえども白旗を挙げざるを得まい。

理由は簡単で、長期金利が上昇しだすのを見れば、国債など債券保有者は値下がり損を回避しようと、保有債券を手放そうとする。

保有債券の売りは、そのまま債券価格の下落につながり、さらなる市場での長期金利の上昇を招く。

債券価格と市場金利は常に反比例する。 だから、保有債券の売りが出れば、それに反応して金利は上昇して当然のこと。

いかに日銀が国債発行残高の半分近くを保有しているとはいえ、残りの半分強の売り意向にはストップをかけられない。

また、社債などほかの債券も金利上昇で価格の下落に見舞われ、それは困るといった売りがどんどん出てくる。

となると、日銀は国債のみならずすべての債券を無制限に買い込まない限り、長期金利の上昇は抑えられない状況に追い込まれるわけだ。

それは、どう考えても合理的ではない。 なぜなら国債などを買い込む分だけ円紙幣の増発をしなければならず、日銀の信用力つまり円の価値はガタガタに低下してしまう。

通貨の価値下落は、悪性インフレと悪い金利上昇を招く。 つまり、どっちみち金利は上昇することになる。

そもそも、金利をゼロとかマイナスにすること自体が、経済活動を弛緩させるだけのおかしな政策なのだ。

デフレ脱却という大義名分を掲げるものの、ゼロ金利に甘えたバブルを醸成するだけだ。

健全なる経済活動には、それなりの金利が付きまとうのが自然である。 その自然な状態に近づこうとするのが、ここへ来ての長期金利の上昇圧力である。

とはいえ、こんな金利上昇はまだまだ走りもいいところ。 いずれは、本格的な長期金利の上昇圧力が市場を席捲する。

そうなっても、われわれ長期投資家はゆったりしたものである。