イタリアの超高級ブランドで、外着を主体としてヨーロッパや米国を中心に世界の富裕層から熱烈な支持を受けている。
富裕層といっても、ただお金に任せてブランド物を買い集めるといった類の成り金的な人達ではない。
ブルネッロ・クチネリの哲学を良しとし、「高級」の良さをしっかり理解できる人たちが顧客層をなしている。
その哲学とは? 最高級の外着をイタリアの職人技術を、ひとつずつ丁寧に重ね合せて作り込んでいく。
個々の職人作業には、それぞれ誇りをもって仕事してもらえるよう、きちんとした対価を支払う。
もちろん、社員に対しても、出入り業者さんに対しても、原材料の仕入れでも、同様である。
それらが積み上がっての高価な商品、それがブルネッロ・クチネリである。 利幅を大きくするためとかで、安上がりのビジネスには絶対に流れない。
良いものには、それなりのコストがかかっている。 安かろう、悪かろうとは、まったくの対極の価値観である。
それどころか、毎日の生活でたっぷりと恩恵を受けている工業製品の概念をも超えている。
工業化とは技術を駆使し、あらゆる無駄を省いて、最高の製品をできるだけ安く作るという概念だ。
「できるだけ低コストに」だと、どうしても低賃金労働やロボットのフル活用に行ってしまう。
その流れでは、伝統的な職人技はどんどん廃れていくし、成熟経済に生きる中間層も仕事を奪われてしまう。
さあ、どうするか? このあたり、日本も真剣に考えなければならないテーマである。
ブルネッロ・クチネリはフィレンツエに近いソロメオ村に本拠を構える。 そこに900名余の雇用を創出している。
10月に行って、いろいろ学んで来ようと思う。