さあ、なにを頼りにしましょう?

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5年もしないうちに、「あの頃は、嵐の前の静けさだったな」と思い返すことになるのではなかろうか。

ちょっと突飛に聞こえるかもしれないが、いろいろ起こってもおかしくない状況になってきている。

どういう順番となるのか見当もつかないが、短時間のうちに連鎖反応を示すのは間違いない。

一体なにが起こるというのか? 先ずは、その背景を再確認しておこう。

2000年前後に世界中で大量にばら撒かれたまま放置されたマネーは、金融バブルとなってリーマンショックを引き起こした。

これは大変な事態となった、金融恐慌につながりかねないと、先進国中心に史上空前といわれる規模の資金供給が実施された。 ゼロ金利やマイナス金利も導入された。

そのマネーだが、いよいよ収縮の段階に入ってきた。 金利も上昇しようとしている。 ここからが、今日の本論である。

大量にばら撒かれたまま放置すると、マネーがまたぞろ暴れ出して次の金融バブルを引き起こす恐れが多分にある。 場合によっては、悪性インフレを呼び込むかもしれない。

それは絶対にまずい、金融と金利の正常化を急ごうということで、米 FRB は出口戦略を進めている。

ヨーロッパ中央銀行も米国の出口戦略に同調し始めた。 ひとり日銀だけが一層の金融緩和を政策の柱としているが、孤軍奮闘の立場にある。

そこで、マネーの収縮と金利の上昇だが、今後いろいろな混乱を引き起こすことになろう。

最初のうちは、じわりじわりと金融マーケットに影響を及ぼすぐらいのものだが、最終的には収拾のつかない大混乱となろう。

どんな混乱か? 国債など債券価格が下落から暴落へ。 ゼロ金利やマイナス金利で生きていた企業群が、相次いで脱落していく。

金利上昇と脱落企業中心に業績悪化で、株価も暴落。 国の国債発行に支障が出てきて、予算編成に黄信号。

国債や株式 ETF を大量保有している日銀の財務悪化と、信用力低下。 新興国も対外支払い増加と成長力ダウン。

その他にも、いろいろな連鎖が発生しよう。 日本経済にも世界経済にも大きなマイナス要因と騒がれよう。

しかし冷静に考えれば、これらのすべてが世界の金融や金利が正常化に向かう過程での混乱といえる。

どんなに金融マーケットが荒れようと、世界経済がガタガタしようが、世界中の人々の生活は相変わらず続くのだ。

つまり、われわれ長期投資家の足元はビクともしない。 むしろ、長期投資がますますやりやすくなるだけのことである。

なにを頼りにしたらいいのかは、考えるまでもないことだろう。