名古屋人の経済感覚

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昨日、テレビのビデオ取りをした。 9月に名古屋城天守閣前でオペラ「トスカ」をやるが、その告知用のビデオ取りだ。

その中で話したのが、名古屋人はお金をつかうべき時を知っているということ。

昔、8代将軍吉宗が財政立て直しで勤倹節約と奢侈禁止に走っていた時、名古屋城主の徳川宗春は芸者をあげて毎晩どんちゃん騒ぎを続けた。

日本全体でみると経済活動は委縮したが、ひとり名古屋経済だけは活気を呈した。

不況時にはお金をつかうべし、そうしないと経済活動は縮小均衡の道に陥ってしまう。

1929年の米国大恐慌から30年代には世界恐慌へ発展していったが、そこで打ち出されたのがケインズ政策である。

やはり、とにかくお金をつかうべしだ。 ケインズより200年前に宗春公は不況時の景気対策をやっていたわけだ。

もともと名古屋は、日本経済の二大中心地である江戸と上方の間にあって、自前色の強い体質を持っていた。

それが、日頃は無駄遣いをせず、お金は貯め込んでおくという価値観だ。 そして、ここぞという時には気前良くお金をつかう。

たとえば、名古屋の結婚はやたらと派手で、嫁入り道具にはびっくりするほどお金をかける。

現在では、名古屋企業は総じて財務内容が良く、キャッシュリッチの経営を良しとしている点に表れている。

そういった土地柄か、名古屋人は文化とか芸術などには、いまいちお金をつかおうとしない。 それで、しばしば文化不毛の地といわれたりもする。

しかし、成熟経済となった今、名古屋の人々はいつまでもモノづくりだけにこだわってはいられない。

名古屋経済や社会の活性化に、文化とか芸術の分野でも、お金をつかうことを覚えていく必要がある。

ここぞという時に、お金をつかうことの意義と価値を知っている名古屋人だ。 わかって動き出したら早いのではなかろうか。

そのひとつのきっかけに、9月のオペラ公演が寄与できたら、嬉しいことである。

そんな夢もあって、6日間の公演という日本では例のない、名古屋人の好きな「ドデカイ」企画にしたというわけ。