日本経済の成長率を高めるには、経済活動を活発化させるに如かず。 それには、企業に設備投資などを積極化させるのが一番とされてきた。
現に、多くの企業は思い切った投資に踏み切れず、内部留保を高めるばかり。 そこを切り崩せば、企業の投資拡大が成長率に寄与するはずである。
残念ながら、その想定がなかなか現実のものとならない。 理由は簡単で、一部の企業群を除いて設備増強ニーズは、それほど感じられない。
また、失業率が3%を切る完全雇用状況にあり、工場を増設したところで新規雇用が難しくなっている。
ところが、政治家や官庁は相も変わらず大企業を中心とした経済政策に重きを置いている。 それで企業の投資意欲を高めさせるべく、なんでもかんでも円安だ、超低金利で金をばら撒けの一本やりできたわけだ。
ようやく最近になって、個人消費を高めるのが景気回復の早道という考え方が、経済政策の前面に出るようになってきた。
国内総生産 (GDP) の60%前後を個人消費が占めるのだから、ごく当たり前の政策発想である。
問題は、個人消費を高めるといっても、さてどうするかだ。 日々の生活消費を超えて、どれだけ余分にお金をつかってもらうのか?
具体的には、貯め込む一途の預貯金を、いかに取り崩させるかが、日本経済活性化の鍵となる。
つまり、生活消費を超えて、如何に「お金をつかう文化」を高めていくかだ。 文化・教育・芸術・スポーツ・技術・ 寄付・NPO ・ボランティアと、なんでもいい。
たとえば、いつも書いているように、預貯金の1%が寄付にまわるだけで、日本経済は1.7%もの成長をする。
では、日本人の間で寄付の文化を高めるには、どうしたら良いのか? どうしても寄付すると、それだけ自分のお金が減るという考えが先に来る。
そこをどう払しょくするか? 寄付したお金はまわりまわって、経済成長と家計所得の増加につながるんだという考え方を、どう国民の間に植え込んでいくか?
このあたりをクリアすることが、日本のような成熟経済の持続的な成長と発展につながっていくことになる。