ここへ来て、立て続けに主婦や若い人たち向けのセミナーをやった。 どちらも、毎日の生活の中に長期投資を組み込んでいこうよという主旨で、質疑応答ベースの勉強会にしたが想像以上に盛り上がった。
とりわけおもしろかったのは、子どもを預けて10時~12時の勉強会に駆けつけてきた若いママさんたち向けの勉強会だった。 投資はもちろんのこと、経済なんてさっぱりわからないという方々がほとんど。
大丈夫、経済や投資の難しい勉強なんて考えなくてもいいよ。 そんなことよりも、毎日の生活をどう守りかつ充実させていくかを、今日はじっくり考えてみようよ。
そういった滑り出しで、ゆっくりと分かりやすく話を進めていったら、結構ついてきてくれる。 おもしろがって、ウンウンと頷いたりメモを取ったりで、ママさんたちの集中力はどんどん高まっていった。
話題は自然と、毎日の生活を支えてくれているのは誰なのよという方向に収れんしていく。 会場のあちこちから、「そうだ企業なんだ」という声が上がってきた。
ご主人やママさんたちが毎月の給料を得ているのも、夕飯のおかずを買いに行くのも、企業のビジネス活動があってのこと。 別に、国から生活保護を受けているわけでもないし、食べ物を恵んでもらっているわけでもない。
みな堂々と生きている。 そこにあるのは、人々の生活とそれを支える企業のビジネス活動との二人三脚である。 それだけで、経済のほとんどが出来上がっている。
ということは、企業を応援することが大事? まさに、その通り。 毎日の買い物でも、できるだけ応援したい企業の製品を選ぼう。 その積み重ねが、応援したい企業の持続的な成長と発展につながっていく。
逆に、金儲けを第一としている企業は消費者の反発を招いて、いつしか市場から消えていく。 不祥事など起こした日には一発退場となる。
ひとつ悩ましいのは、どんなに消費者目線で経営している企業でも、株主の圧力には逆らえない。 とりわけ、投資ファンドのような短期で投下資金を回収しようというところからみれば、格好のカモである。
社会や環境にやさしく、できるだけ雇用を増やしたり、将来に向けての投資をしっかりやっている企業など、ずぶ濡れの雑巾みたいなもの。 経営権を取得して、人を切れ工場を閉鎖しろとやれば、いくらでも利益を搾り上げられる。
これまで生活者にやさしい経営をしていた企業が、ある日突然に大株主の圧力で、金儲け第一の経営に変わってしまったら困る。 さあ、どうするか?
簡単なこと。 われわれ一般生活者が、そういった企業の応援株主になればいい。 とりわけ株価が大きく売られて安くなっている時ほど、投資ファンドなどに狙われやすい。
そこは、生活者投資家の出番である。
ママさんたちが毎日の生活を守り、その生活に欠かせない大事な企業を応援する。 そのためには、毎日の生活消費で売り上げに貢献し、なおかつ株価が下がっている時に応援株主になっていく。
この二つの行動は、いってみれば生活防衛であり、皆さん一人ひとりが子供たちのためにも責任もたなければならないんですよ。 そんな風にセミナーは展開していった。
40名近いママさんたちは、 生活者投資家という成熟経済にとって極めて重要な考え方を、しっかり認識してくれたようだ。