セミナーなどで一番ひんぱんといっていいほどよく出る質問が、投資で買ったり売ったりのタイミングはどう判断したら良いのかであろう。 とりわけ難しいのが、売りのタイミングをどう計るかだろう。
面白いのは、短期主体の一般投資家が投資のタイミングで悩むのは理解できるが、長期投資家やその卵たちの間でも結構あるようだ。 長期投資だから買った株はずっと持っていなければならないと思い込んだり、いつ売ったら良いのですかを真剣に尋ねたりする。
長期投資の場合は簡単で、先ず応援したい企業を決めておいて相場暴落時を待って買いに入る。 暴落相場というほどの激しい下げでなくても、応援したい企業の株価があまりに酷く売られていると思えば、ここは応援しなければで買いに行く。 ここは応援したい、応援しなければと思えるところで買いに入ればいいのだ。
売るのは、景気や投資環境など一般的な状況が良くなってきて、にわか応援団がぞろぞろ出てきたころからと考えておこう。 しばらく前までは二束三文に売りたたいていた投資家たちが、株価上昇を見て慌てて買ってきたあたりから薄く薄く売り上がっていこう。
長期投資の売買タイミングは、そんな感じでもう十分である。 要は、生活者にとって大事な企業が大きく売られていたら応援の気持ちを高めて買いに行く。 にわか応援団が猛烈に買いあがてきたら、彼らに応援を一時的に任すつもりで売っていく。 それだけのことだ。
もちろん、さわかみファンドの運用でもそういった企業の応援投資を徹底している。 だから、さわかみファンドに乗船されているお客様は、ゆったりと長期投資船に乗っていてもらうだけでいい。
さて、ここからは一般的な投資の買いと売りのタイミングだ。 最初に思い浮かべてもらいたいのは、”線路は続くよ、どこまでも” の歌だ。 相場もまったく同じで、どこまでも繰り返し続いていく。 ここのところを、皆コロッと忘れてしまう。
この相場が最初で最後、ビシッと決めなければとやたら意気込む。 どの投資家もこの相場でひと財産作ろう、それにはできるだけ安値を買いたい、高値で売って大きく儲けたいで必死の形相となる。
多くの投資家が同じような魂胆で、安値を買おう高値を売ろうと眼をぎらつかせる。 だから、相場の底値圏や天井圏の値動きが泥臭さにあふれたものとなる。 そんなところで、買いや売りのタイミングを的確にとらえるのは至難の業である。
相場など生きている間に、千回でも一万回でも上がったり下がったりを繰り返す。 一発で決めようなんてこと考えずに、安いところで買って高くなったら売るを、自分のペースで繰り返すのだ。 大事なのは、自分のリズムを崩さないということ、それに尽きる。
自分のリズムを守り、マイペースで投資していく上でカギとなってくるのが、投資対象である。 あれやこれやの投資対象を食い散らかすような株式投資では、どこかで空中分解してしまう。
やはり、この企業は何が何でも応援しなければといった、長期投資の銘柄選択が一番確かなものとなるはず。 そう、結局は長期投資に戻ってしまうことになる。 投資とは、そういったものなんだ。