お金の出し癖をつける

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 昨日は青森県の弘前市でセミナーをさせてもらった。 質疑応答の中で、若い女性がこんな質問をしてくれた。 長期投資で応援したい企業ということですが、弘前にはさわかみファンドが組み入れている会社がありませんでしょう。 私達は、できれば地元の企業を応援したいと思うのですが。

 そこで、2段階作戦を紹介した。 先ずは、本格的な長期投資で世界の成長を取り込むのだ。 世界中の人々がより豊かな生活を目指して経済成長に邁進しているが、そのお手伝いしている企業を応援していくことで、長期投資のリターンが積み上がっていく。

 そういった長期投資で財産が膨れ上がっていくにつれ、年0.02%ぐらいにしか回らない預貯金にぼやーっと寝かせている資金が、どれだけもったいないことかを実感するようになる。 同時に、自分のお金を長期の投資にまわす意義と面白さを知ることで、もっともっとやってみようという気持ちが高まってくる。

 預貯金からの出し癖がついてくるのだ。 大切な虎の子を預貯金にボヤーッと寝かせておくのではなく、もっと積極的にお金を動かしてみたいという気になる。 本格的な長期投資を展開してくれているファンドを買い増すのもよし、自分で長期投資してみるのもよし。 預貯金に丸投げしているよりは、ずっと面白いし実利も大きい。

 ここまで来ると、いよいよ第2段階だ。 ファンドを買ったりして自分のお金が少しずつ増え始めているから、気持ちの余裕が出てきている。 では、地元の企業やお店の応援もさせてもらおうかとなってくる。 本格的な長期投資で財産は増えはじめているから、”地元への投資に関してはリターンとかを余り意識しないでいこう” といった考えも出てくる。

 この意識の高まりが重要である。 弘前はじめ地方都市の多くが、シャッター通りに象徴される経済的な疲弊に苦しんでいる。 そういったジリ貧をたどる地域経済に根ざした企業や商店の経営は苦しい。 それでもなんとか頑張って行きたいというところを地元生活者が応援していく図式に、長期投資を乗せてやるのだ。   

 具体的には、地元の企業やお店からどんどん買ってあげて売り上げに貢献する。 ちょっとぐらい高くても良いじゃないか、財産も増えているのだからと鷹揚に構えられる。 同時に、地元の企業や商店がちょっと資金が必要になったら、そこは長期投資家の出番とばかり、さっさと応援させてもらう。 潰れずに頑張ってもらうことで雇用が守られるし、地元経済のジリ貧にブレーキをかけられる。

 この流れを徐々にでも高めていけば、地方経済は必ず復活する。 われわれは長期投資という武器を持っているのだ。 約束はできないが、時間が経てばたつほど複利の雪だるま効果で財産の膨れ上がりは加速していく。 長期投資で膨れ上がっていく資産の使い勝手というか資産価値は、地方の方が生活コストも格段に低いから、大都市に住むよりはるかに大きくなる。

 われわれ長期投資家からみれば、地方ほど有利なんだ。 10年もしたら、はっきり見えてくるだろう。

 

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 本を出しました。今回は電子書籍版として、スッと読めるボリュームに抑えました。 さわかみ投信現社長の黒島の本も合せてご紹介します。ちなみに、黒島の本は紙媒体も用意しております。

 澤上篤人「お金をまわして日本を元気にさせよう」
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 黒島光昭「特許物語」
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