【国民ファンドで日本経済を活性化する】
運用立国への足がかりができていく②
その代わり、国民ファンドに組み込まれて長期安定的に保有されることで、企業はいろいろな有利さを手に入れる。たとえば、買収防衛策など講じなくてもよくなる。かつての持ち合いとは違い、きちんと利益を出し続けられる経営をしておれば、国民ファンドが質の良い安定株主としてずっと応援してくれるのだから。
この流れが定着してくると、日本企業のみならず海外とりわけ新興国の成長企業が東京市場への上場を前向きに検討するようになる。国民ファンドの組み入れを通して、質の高い株主層に長期視野で応援してもらえるとなれば、思い切った企業戦略を打ち出せる。これが、NY市場など他の株式市場だと年金を含め短期視野の投資家が支配的で、株価は四半期毎の決算に振りまわされがちとなり、おちおちと長期の経営戦略を貫けない。
新興国などの成長企業群が先を争って東京株式市場へ上場してくるとなれば、国民ファンドの組み入れ対象は大きく世界へ広がっていく。国民ファンドを購入している投資家は日本に居ながらにして、世界の成長に乗っていけるわけだ。そのまま国際分散投資にもなってしまう。
こうなってくると、東京株式市場は個人の預貯金マネーと国民ファンドを中核とした、「本格的な長期投資のメッカ」といった位置付けを確立していく。それはそのまま、世界の成長企業のみならず長期投資家をも日本に呼び寄せることにつながり、東京株式市場をベースとして運用立国への道が広がっていくことになる。
つづく・・・